靴マニアが作った!お洒落で疲れない、環境配慮型フラットシューズブランド『wf(ダブリューエフ)』とは
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国内においても近年ヴィーガンレザーに関する製品が続々登場する中で、靴一足分に対する割合80%をサスティナブルな素材で作り、完全受注生産のみでの販売を行っているのが『wf』だ。靴オタクの発想が詰まったシューズは、業界初の試みがたくさんある。素材探しから生産方法は、今後サステイナブルのシューズ業界を牽引していくだろう。
今回、『wf』のブランドMDで、開発者でもある香川あゆみ氏にヴィーガンレザーの特徴や他社では行っていない靴の素材をすべて公開する販売方法など、なぜ行っているのかを伺いました。
『wf』のブランドMDで、開発者でもある香川あゆみ氏
ヴィーガンレザーの特徴について教えてください。
「ヴィーガンレザー」とは、言い換えると「フェイクレザー」です。見た目・質感を動物性の皮のように再現した素材で、主に基布に合成樹脂を塗り重ねることで作られています。
一口にヴィーガンレザーといっても、素材や構造によってさまざまな特徴があります。
従来の合成皮革・人工皮革には石油を原料とするポリウレタンや塩化ビニルが使用されていますが、近年注目が集まるヴィーガンレザーについては地球環境に配慮し、植物を主原料とした樹脂の素材が開発されています。
ヴィーガンレザーを採用する際に苦労した点はありますか。
様々な業界で、環境に配慮したサステナブルな製品が採用されることが多くなってきていますが、弊社ではSDGsを意識した靴を作ろうと企画した際にアップルレザー(廃棄りんごの人工皮革)を採用することに決めました。
靴は10以上のパーツで作られているのですがパーツごとに素材開発のメーカーが違っており、すべてをサステイナブルな素材で実現するとなると想像以上に課題が多く、一筋縄ではいかないサステイナブルシューズづくりの始まりでした。
それぞれのメーカーさんが常に新しい素材を開発しているのですが、横のつながりがないことによって、なかなか製品化に結び付けることが難しいのが現状です。その実情を目の当たりにしたときに私が感じたことは、「各メーカーさんが協力すればもっと素晴らしく、ここちが良くていいものを作れるのに・・・。もどかしい。」
そこで、今回『wf』のデビューにあたり同時に行ったことがあります。素材探し中に出会ったメーカーさん同士のマッチングと、これまでアパレル業界ではほとんど行われていない靴の素材やメーカーさんを公表するポータルサイト「靴の履歴書」をオープンしました。
いわゆる商品詳細ページなどとは別のページで、それぞれの靴に使用したサスティナブルな素材を紹介
素材を明確に公表することでお客様には安心感をもっていただけることを目的にしていますが、それと同時に、業界全体にも素材の進化などの情報提供をすることでそれぞれの企業さまのマッチングができ、その先には新たなエコフレンドリーなアイテムの登場や商品開発をされているメーカーさんを応援していきたいという気持ちがあります。
靴業界ではいち早く、「受注販売」の取り組みをされていますが、こちらも苦労があったのでは。
『wf』は、完全受注販売の形式で、過剰在庫をもたないブランドとして企画をスタートしました。「受注販売」を口で言うのは簡単ですが、実際に実行することは大変難しいことでした。弊社の考え・理念に賛同してくださる企業様を探すことからスタートしましたが、受注生産は発注数が安定しなかったり、サステナブルな資材を調達・保管しておくことが難しく、こちらも一筋縄ではいかずブランド設立まで構想から3年以上かかりました。協力工場も見つかり今年の6月に2つのデザインでデビューすることになりました。
トレンドに左右されないシンプルなデザインとカラー、柔らかく空気感のある履き心地。
足を痛めないための靴選びで重要になってくることは、「靴の中で足が泳がないこと」です。『wf』の靴は、足先はラウンドトゥで比較的ゆったり構造になっていますが、甲の隠しゴムや踵のシャーリングなどによって履いてるときは脱げにくく、靴を脱ぐ際にはさっと片手で履けるスリップ・オンのデザインにこだわりました。
甲の隠しゴムや踵のシャーリング
新しいブランドの靴をネットで購入することのハードルの高さもあると思いますので、1回までサイズ交換無料とさせていただいております。季節や履く時間帯など様々な要因で足のサイズは微妙に変化するのですが、アップルレザーも天然皮革同様で履いていくうちに伸びてきますので、ぴったりなサイズで購入いただくことをおすすめしています。
その他、靴選びに関する豆知識などをSNSなどを通して公開していますのでぜひご覧いただければと思います。
https://www.instagram.com/wf_farfalle/
『wf』の今後の取り組み予定について
アップルレザーは、国内でも生産が可能な素材です。『WF』では、カーボンフットプリントの観点からも、将来的には国産でサステイナブルな素材100%を目指しシューズ作りに力を入れていきますのでぜひ応援いただけると幸いです。
―――香川様、ありがとうございました。
今回取材をさせていただき、ヴィーガンレザーの発展に向けての企業努力は並大抵のことではなく、企業間の連携が欠かせないと感じた。
植物由来のヴィーガンレザーが一般市場に浸透していくのはまだ少し先になるかもしれませんが、まずは多くの方にヴィーガンレザーの特徴やメリットなどを知っていただけるようVEGANLIFE編集部ではこれからも情報を発信し続けていきたいと思う。
ヴィーガンレザーを使用した沢山のジャンルの製品が生まれることを夢見て・・・。
photo:Ayumi Kagawa
text:Megumi Hattori
https://www.cloche.shop/f/wflp