ヴィーガン食は、国籍や文化、人種を超え、多くの人が実践しています。一口にヴィーガンといっても、その食事内容はさまざまで、国や文化の特色が表れやすいのもヴィーガンの面白さのひとつです。
今回は、台湾で流行するヴィーガン食の一種である「台湾素食」をご紹介します。台湾素食の特長やヴィーガンとの違いまで、チェックしておきましょう!
心もカラダも整える。台湾流の精進料理「台湾素食」の世界
台湾素食とは、台湾におけるベジタリアン、ベジタリアン食を指す言葉です。日本では台湾素食(たいわんそしょく)と読みますが、中国語では「タイワンスーシー」と読みます。
台湾では、人口の約1割が素食を実践しているともいわれており、かなり浸透している食文化のひとつです。
素食専門店には卍(まんじ)マークが掲げられ、素食対応可能店であることを表示しています。レストランはもちろん、夜市や屋台、駅弁や機内食にまで素食が普及しているので、ヴィーガンの人の旅行にもうれしい対応が期待できる地域といえそうです。台湾素食が避けるべき「三厭五葷(さんえんごくん)」って?
さて、台湾および中国圏のベジタリアンを指す言葉として使われている台湾素食ですが、一般的に広まっている「ベジタリアン」の定義とは厳密には異なるものです。いったいどんな特徴があるのでしょうか。
台湾素食では、ヴィーガン食と同じく肉や魚、卵、乳製品といった動物性食品を避けますが、それ以外に避けなければならない食品があります。「五葷(ごくん)」と呼ばれる食材です。五葷とは、にんにく、ねぎ、玉ねぎ、らっきょう、にらを指す言葉です。
中国の仏教、道教には、「三厭五葷(さんえんごくん)」といって、三厭(鳥や獣、魚介類)と五葷を禁止する戒律をもつ宗派があります。お坊さんや信仰者のなかには、こういった戒律を守るために素食を行っている人が多くいるのが実情です。
そのほかにも、動物愛護や環境保護を目的に台湾素食を行う人、健康や美容のために台湾素食を行う人、週に一日だけ…など、フレキシブルに台湾素食を取り入れる人など、台湾素食をはじめる理由は人それぞれです。中には「家族の病気が治癒しますように!」「試験に合格しますように!」といったように、“願掛け”のために台湾素食を続ける人もいるようです。おもしろい文化ですよね。食いしん坊も大満足!代替料理が得意な台湾素食の世界
素食と聞くとその字面から「質素な料理」を思い浮かべてしまいがちですが、台湾素食は満足度が高いことでも知られる料理です。鶏に似せた「素鶏」や「素肉」「素魚」など、ヴィーガンでいうところのグルテンミートのような代用肉を当たり前に使うのが特長で、中国圏の料理らしいガツンとしたボリュームある料理をたっぷりと楽しむことができます。普段素食を実行していない人でも「これで肉や魚を使っていないだなんて、言われるまで気づかなかった!」と驚くほど再現度が高い料理に出会えるのが台湾素食の魅力です。台湾素食(タイワンスーシー)についてのまとめ
台湾素食は、世界的にも知名度があがりつつあります。特にヴィーガンやベジタリアン人口が多い欧州などでは、「海外でも安心してヴィーガン食を楽しめる観光地」として台湾が取り上げられていることが多く、注目を集めいています。
世界と比べるとまだまだヴィーガン人口が少ない日本ですが、いつか台湾のように、日本にも“日本素食”文化が根付いていくといいですよね。