肉や魚、卵、乳製品といった動物性食品を摂らないヴィーガンと、米やパン、麺、果物といった炭水化物の多い食品を避け、高たんぱくな食事を行う糖質制限。一見、対極に見えるヴィーガン食と糖質制限食ですが、ヴィーガンでありながら糖質制限を実践する…のは可能なのでしょうか。
今さら聞けない…“糖質制限”ってどういうもの?
減量方法、肉体改造方法としてすっかり定着してきた糖質制限。もともとは、糖尿病患者の治療を目的とした食事療法のひとつです。
血糖値を急激に上昇させるはたらきがある糖質をコントロールすることで、“肥満ホルモン”と呼ばれているインスリンの分泌を抑え、痩せやすいカラダへと導くのが糖質制限です。
では、糖質とはいったい何でしょうか。糖質とは、炭水化物から食物繊維を引いた残りの栄養素を指す言葉。“糖”という漢字が使われているので、つい甘いものを思い浮かべがちですが、白米やパン、麺、かぼちゃ、じゃがいもなどに多く含まれている栄養です。
糖質制限では、主食を抜き、糖質が少ない肉や魚、大豆、海藻、キノコ類をメインとした食事を行い、特にたんぱく質の摂取を積極的におこなうのが一般的です。
穀物や野菜を中心としたヴィーガン食とは相容れなさそうな糖質制限ですが、ヴィーガンとして糖質制限を実践することは出来るのでしょうか。ヴィーガンが糖質制限を行うポイント
では、ヴィーガンが糖質制限を行う場合、どのような点に注意すればいいのか見てみましょう。1.たんぱく質源を考えよう
糖質制限ではたんぱく質の積極的な摂取が不可欠。肉や魚、卵といった動物性のたんぱく質を摂らないヴィーガンの場合、たんぱく質源は主に豆類。豆類はアミノ酸スコアが高いものの、豆の種類によって糖質の含有量が大きく異なるので注意が必要です。たとえば、優良なたんぱく質としてヴィーガンに重宝されているひよこ豆やレンズ豆の糖質含有量は大豆のおよそ3倍ほど。大豆の糖質は100gあたりおよそ5g(蒸し大豆の場合)程度ですので、ヴィーガンの糖質制限にはぴったりです。2.女性の場合、大豆の摂取量には注意しよう
ヴィーガンの糖質制限食としておすすめの大豆ですが、大豆には「大豆イソフラボン」と呼ばれるポリフェノールの一種が含まれており、女性ホルモンであるエストロゲンと似たはたらきをします。そのため、大豆を過剰摂取することで女性ホルモンのバランスが乱れ、月経異常や肌荒れといった不調の原因になることがあるので注意が必要です。3.野菜に含まれている糖質含有量を学ぼう
ヴィーガン食では一切禁止されていない野菜のなかにも、糖質が高く糖質制限では避けるべきものがあります。芋類や果物は当然避けるべきですが、トマトやカボチャなども糖質が高め。糖質制限で選ぶべき野菜は葉物野菜とキノコ類です。4.少量の玄米を摂取しよう
肉を食べないヴィーガンの糖質制限で特に不足しがちな栄養素であるビタミンB1。豚肉やレバーに多く含まれるほか、玄米や胚芽米にも含まれるので、これを補うために少量の玄米を摂るようにします。玄米はいわゆる“低GI食品”。食後血糖値が上がりにくいのが特徴です。とはいえ、白米よりも糖質は低いものの、玄米にも糖質はしっかりと含まれているので食べすぎには注意しましょう。5.こんにゃく麺や豆腐麺を活用しよう
それから、こんにゃく麺や豆腐麺といった加工食品を使うのもおすすめです。
こんにゃくは100gあたりに含まれる糖質がおよそ3gと少なく、便秘解消に効果的な不溶性食物繊維が含まれているため、糖質制限食の強い味方です。ただ、お腹の調子が良くない時には更なる不調の原因にもあるので、食べる量には注意が必要です。
また、豆腐もカルシウムやビタミン類を補え、しかも満腹感も得られやすいですし、糖質制限において重要な役割を担います。とはいえ、どんなに良い食材であっても食べ過ぎは避け、適量を心がけるようにしましょう。【まとめ】ヴィーガン流・糖質制限ダイエット
ヴィーガンであっても糖質制限は可能ですが、食べられるものの選択肢がかなり絞られるため、栄養不足にならないための知識と工夫が不可欠です。実践する場合は、意味のない糖質制限にならないよう、事前によく学んでおきたいですね。