近年、ヴィーガンという生き方が世界中で広がりを見せています。そもそも"ヴィーガン"とはいったいどのような人を指す言葉なのでしょうか。
ベジタリアンと混同されやすいヴィーガンだからこそ、改めて確認しておきたいヴィーガンの意味を解説します。
まずは知っておきたい"ヴィーガンのルーツ"
"ヴィーガン"という言葉が初めて使われたのは、1944年イギリスでのことです。動物の体・卵・乳を食さない協会の会報誌のなかで提唱された言葉でした。
「Vegetarian」の頭3文字と尻2文字をとって「Veg+an=Vegan(ヴィーガン)」。従来のベジタリアン主義の終わりとはじまりという意味合いを込めてそう名付けられたというのが一説です。協会はのちにヴィーガン協会として発足し、「人間による動物の命の搾取を終わらせること」を目的に現在も活動を行っています。
まだ100年足らずという短い歴史のヴィーガンですが、食の傾向としてのヴィーガンの歴史は長く、古代インドや古代ギリシアは実質のヴィーガン生活であったという文献が残されています。その後、19世紀に入ってからベジタリアンという言葉が生まれますが、当時のベジタリアンは現在のヴィーガンのように純粋な菜食主義者を指す言葉として使われていたようです。
環境保全や動物愛護など、さまざまな思想を持った本来の意味としての「ヴィーガン」の歴史はまだまだ浅いものの、食事法としてのヴィーガンは古くから伝わってきたもの。ヴィーガンの暮らしは意外にも、私たちの祖先の時代から長きにわたって実践されてきたものなのかもしれません。今一度考えたいヴィーガンの意味とは
このように、ヴィーガンのルーツをたどってみると、“ヴィーガン”という言葉が単に菜食主義者を示す言葉ではないことがよくわかります。もちろん、自身の健康のために菜食主義を徹底して貫いている人もヴィーガンに含まれますが、ヴィーガン本来の意味はその思想にあるといっても過言ではありません。
“動物の命をいただくという選択をしない”ことで、動物たちの生きる権利を守り、畜産や漁業によって起こる環境破壊を食い止めるための活動につなげること。これこそヴィーガン本来の意味であり目的です。
ヴィーガンとしての生活を志す理由は人によって異なりますが、ベジタリアンと比べて明確に思想をもって実践している人が少なくないのがヴィーガンです。単なる食事制限ではないということを頭に入れておきたいですね。まずはできる範囲からヴィーガンライフをはじめよう
では、すべてのヴィーガンが厳格に動物を排除した生活を行っているかというと、実はけっしてそうではありません。口にするものだけにとどまらず、着るもの、身につけるもの、すべてのものから動物を排除するのは、現代ではとても難しいものです。
ヴィーガン協会も、ヴィーガンの意義を「個人的な状況が許す限り、この理想に近い生活をすることに努めている人」としており、「動物を完全に排除した生活を送れなければヴィーガンとはいえない」わけではないのです。
大切なのは、ほんの少しだけ動物の命に思いをはせてみること。まずは週に一日でも構いません。肉、魚、卵、乳製品、はちみつといった動物由来の食べ物を口にしない一日を作ってみませんか。週に一度、動物を口にしない日を設ければ、年間でおよそ50日分。これをみんなで実践すれば、動物の命の消費は少しずつ減らすことができますね。【まとめ】ヴィーガンのルーツと意味について
完全なるヴィーガンを目指す必要はありません。まずはヴィーガンの持つ本当の意味を知り、ヴィーガンとして食と思想を暮らしに取り入れる“ゆるヴィーガン生活”からトライしてみてはいかがでしょうか。