口コミで人気の「雑穀ヴィーガンドーナツ」が誕生したわけ

公開日: 2023.5.12

インタビュー

レストラン

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東京・代々木(南新宿)にあるカフェ&グローサリー店「FarmMart&Friends(ファームマートアンドフレンズ)」をご存じだろうか。顔のみえる生産者から仕入れた野菜や食料品、それらを使って店舗で手づくりした、オリジナルのドーナツなどを販売している。今回、こちらの運営企画をされている(販売責任者/弓削今日子さん)に口コミで話題の「雑穀ヴィーガンドーナツ」が誕生した理由について伺った。

販売責任者・弓削今日子さん

FarmMart&Friends(ファームマートアンドフレンズ)」とは

株式会社モノサスが母体となり、徳島県神山町で地方創生に取り組む農業の会社「フードハブ・プロジェクト」と協働して生まれたお店です。


このお店がオープンする前、フードハブ・プロジェクトが運営する「かまパン&ストア」のポップアップショップを銀座のソニーパークに出店していました。期限付きの出店でしたが、この場所で得た経験や学び、お客さまや生産者さんとの繋がりを活かしていきたいという想いで、このお店をオープンしました。2022年3月、自社オフィスの一部を改装し、FarmMart & Friends(東京・南新宿)は誕生しました。

クチコミで話題のジャム入り超やわドーナツや雑穀ヴィーガンドーナツができたきっかけ

FarmMart & Friendsでは、“生産者さんから直接届く野菜や果物を使ったオリジナルの商品をまんなかに据え、食材のつくり手についてお客さまに伝え続けていきたい”と銀座での経験から感じていました。

その中で、“お子さんからおばあちゃん、おじいちゃんまで楽しんでもらえるものをつくりたい!”と開発したのが、お店のキッチンで一から手作りしたジャムたっぷりの「超やわドーナツ」と「雑穀ヴィーガンドーナツ」でした。ジャムやドーナツの商品開発は、原宿にあるレストラン『eatrip』を主宰する野村友里さん率いるチームにご協力いただきました。

雑穀ヴィーガンドーナツが誕生した理由をより詳しく聞かせてください。

一番は、“スイーツ”としてだけでなく、「毎日のご飯の代わりにも食べられるギルトフリーなドーナツを作りたい」ということでした。


また、銀座のお店で築いたつくり手との関係性も大切にしていきたいと考えていました。雑穀や在来豆を使うことで、その食材を育ててくださる方の応援ができてその種が続いていくことに繋がれば、という思いから、雑穀を使用したドーナツが誕生しました。

店舗の後ろでドーナツ作りを

雑穀ヴィーガンドーナツには、国内で生産される10種以上の雑穀が入っています。このドーナツを作るにあたり、使う水分として水・牛乳・豆乳などを色々と試しました。最終的に豆腐でつくったものが食感や揚げ上がりがよく、一番おいしかったんです。個人の食のスタイル・主義などは様々ですが、できるだけ色々な方に食べてもらえるものを作りたい!多様な方にオープンなお店でありたい!そんな思いも重なり、結果として動物性食材を使用しないレシピになりました。

噛むほどに旨味が口の中にふんわりと広がるよう、雑穀の特徴に合わせて、それぞれ炊き分けてから生地に練りこんでいます。雑穀のザクザクとした食感を楽しんでいただきたいので、ドーナツは一つ一つ成型し、まわりに食感のでる雑穀を丁寧にまぶしています。このひと手間が、想いを込めて作ってくださった生産者さんの「雑穀の魅力」を正しく伝えることができる方法だと思っています。

甘じょっぱいがやみつきに!リピーターが絶えない雑穀ヴィーガンドーナツ

リピーターの方からは、“雑穀の印象がくつがえるドーナツ”というお声もいただき、おにぎり代わりや朝ごはんとして、暮らしに取り入れてくださっている方もいらっしゃいます。


生産者さんが想いを込めて育ててくださった雑穀を、美味しい雑穀ヴィーガンドーナツという形に変えて発信することが、生産者さんが雑穀を栽培し続けられるきっかけの一つになれば良いなと思っています。今後、食事系のヴィーガンドーナツを増やしたり、雑穀ヴィーガンドーナツの可能性を広げていくイベントはやりたいですね。

 FarmMart&Friendsが未来に実現したいこと

生産者さんとお客さんの関係性が生まれるお店にしていきたいと思っています。同じ方々から野菜などを仕入れ続けることで、お客さんも日常的に、生産者さんの顔が浮かぶようになったら嬉しいですね。毎週届くお野菜をみて、“先週より●●さんの大根が大きくなっていますね”と会話が広がったり、台風など災害があった時には、“●●さんの地域で台風があったよね。大丈夫かしら”と一緒に心配したり。会話の中に生産者さんが自然と出てきて、顔が浮かぶ。そんな会話がうまれるきっかけになったらいいなと思っています。

また生産者さんにも、どんな方々の手に届いているかを伝えていきたいですね。まだまだ長い道のりですが、つくる人と食べる人が友達のような関係になることができる、ハブの役割を担うお店を目指していきます。

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