【ヴィーガン旅特集】食の多様性が旅の価値を高める。日本で楽しむ「旅 × ヴィーガン」の最前線
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「ヴィーガンでも安心して旅行できる場所はある?」「旅先で食事に困らない宿を知りたい」そんな検索が、ここ数年で確実に増えています。ヴィーガンという食の選択は、もはや特別なものではなく、旅の満足度を左右する“重要な要素” になりつつあります。今回紹介するのは、温泉地 × プラントベース × 食の多様性を本気で形にした、日本の旅の新しい選択肢。「ヴィーガン対応=代替」ではない、 “旅そのものを豊かにするヴィーガン体験” です。
ヴィーガンでも安心して楽しめる日本の旅とは?
ヴィーガン旅行において、最も不安に感じやすいのが「食事」。観光地や温泉地では、「せっかく来たのに食べられるものがない」そんな声も少なくありません。だからこそ今、注目されているのがヴィーガン対応旅館 や プラントベース料理を提供する宿。食の制限がある人だけでなく、「アレルギー配慮」「宗教的背景(ハラル等)」「健康・ウェルネス志向」こうした多様なニーズに応える宿は、“誰もが同じ時間を共有できる旅” を実現します。
城崎温泉で出会う、ヴィーガン対応旅館という選択

Photo©️Kenta Hasegawa
兵庫県・城崎温泉。国内外から多くの旅行者が訪れるこの温泉地で、食の多様性に正面から向き合う老舗旅館があります。それが、小林屋。300年以上の歴史を持つこの旅館が新たに打ち出したのが、完全植物性・グルテンフリー・ハラル対応のヴィーガンフルコースディナーです。
「発酵 × 花鍋コース」という新しいガストロノミー

この旅館で提供されるのが、ヴィーガン仕様フルコース「発酵 × 花鍋コース」。すべての料理が「動物性原料不使用(完全ヴィーガン)」「小麦不使用のグルテンフリー設計」「宗教的配慮にも対応可能」という、世界基準の食の多様性を意識した内容です。中核となる鍋料理は、日本の発酵文化を現代的に再解釈した一皿。塩麹をベースに、椎茸・昆布・燻製大豆など植物素材の旨味をじっくり引き出し、「ヴィーガン=淡白」という固定観念を覆す深いコクを生み出しています。
ヴィーガン和食コースが“旅の記憶”になる理由

鍋の具材は五行野菜と季節のキノコをたっぷりと。自家発酵させた塩麹ベースのスープには、燻製した大豆と椎茸・昆布を一晩水につけたものに野菜片(大根、人参、トマトなど)と生姜で味を整えています。
このコースが特別なのは、「食べられる」だけで終わらない点です。「旬の野菜を主役にした美しい盛り付け」「鍋を囲む“共食(きょうしょく)”の体験」「温泉地ならではの静かな時間の流れ」料理は単なる栄養摂取ではなく、旅という時間を構成する重要な体験要素。ヴィーガンであるかどうかに関係なく、「この旅で、この食事をした」そう記憶に残るガストロノミーです。
ヴィーガン対応旅館が、今選ばれる理由

豊岡名産<コウノトリ米>の赤米に、高野豆腐・きゅうり・いぶりがっこを混ぜた巻き寿司。稲荷寿司には<ふるさと豆腐>の揚げを自家製の味付けで提供します。

水切りした木綿豆腐を燻製した<プラントフライ>。揚げ衣にはあられを使いワサビを添えて。

季節の野菜を使ったグラタンは、地元の豆腐屋さんの豆乳を使い、昆布出汁とカレー粉をブレンドしたパンチのある一品。
なぜ今、ヴィーガン対応の宿や旅館が注目されているのでしょうか。
「誰かが我慢しない旅が実現できる」「同じテーブルを囲める安心感」「食の選択肢が多いほど、旅は自由になる」ヴィーガン・ベジタリアンの方はもちろん、家族や友人、パートナーと一緒に旅をする際、「全員が満足できる食事」は旅の質を大きく左右します。
温泉 × プラントベースが叶える、ウェルネスな旅
温泉地での滞在は、本来「整える」ための時間。そこに「消化にやさしいプラントベース料理」「発酵による旨味と満足感」「身体に負担をかけにくい設計」が加わることで、心身を丸ごとリセットするような旅が完成します。ヴィーガン旅は、単なる制限食ではなく、ウェルネスツーリズムの一形態 としても広がりを見せています。
デザートまで植物性。旅の締めくくりにも妥協しない

デザートには豆乳に葛粉、てんさい糖を使用した濃厚な抹茶プリンを。トッピングに<美方ルビー>と呼ばれる、稀少な美方(みかた)大納言あんこを添えて
コースの最後に提供されるのは、豆乳・葛粉・てんさい糖で仕立てた プラントベース抹茶プリン。希少な在来種「美方大納言」のあんこを添えた、和の甘味 × ヴィーガンの完成形です。「ヴィーガンスイーツは物足りない」そんな印象を静かに覆す、満足度の高いデザート体験が待っています。
ヴィーガン旅は、これからのスタンダードへ
「次の旅行先、ヴィーガンでも安心して行ける?」そんな問いに、自信をもって「YES」と言える日本へ。プラントベース料理と温泉、そして共に食べる時間。ヴィーガンであることが、旅をより豊かにする。そんな体験が、日本各地で静かに始まっています。
小林屋について|KOBAYASHIYA – A Quiet Luxury

Lobby/ Lounge

Penthouse Suite <吉右衛門>
小林屋は城崎温泉の中心部に佇む、創業300年の老舗旅館。登録有形文化財の木造建築をリノベーション*し、江戸期の美意識と現代デザインを調和させた空間で、 “日本の美しい佇まい -A Quiet Luxury” を国内外に発信しています。
館内には、詩・現代美術・器をはじめとする文化的要素が息づき、ゲストは宿泊そのものを一つの作品のように味わうことができます。海外メディアからも高く評価されており、英語圏では“A hybrid of traditional Japanese aesthetics and contemporary global sensibilities.”と紹介されています。



