ヴィーガン・プラントベース食においても注目集まる未来食(食べられる花)の可能性とは。
公開日: 2022.9.9
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食領域の社会課題解決に向き合い、日本の伝統食や食材などに新たな価値をプラスするdot science株式会社 代表取締役 小澤亮氏に、注目の集まる未来食(食べられる花)について伺った。
小澤亮(Ryo Ozawa)氏について
大学では建築デザインを専攻し、新卒でYahoo!Japanに入社。ウェブマーケティングのコンサルタントとして活躍。その際に掲げた自身のテーマが、量よりも質を志す「食の生産者」の販路事業づくりであり、より地域の食にコミットするためフリーランスへ。“命がけでいいものを作る、生産者を応援することをし続けたい!品質のために信念を掲げふんばってモノづくりをしている人たちのために何かできないか”と事業開発に挑戦。世界で活躍するシェフ・農業科学者の出会いがさらに行動を加速させ、新たな可能性のある未来食を続々と誕生させている。
dot science株式会社が展開する事業について
成分分析ブランディング事業を軸に、次のような伝統食・未来食を展開している。
成分分析ブランディング
■伝統食(ブランド事業)
-伝統食干物を洋風にUPDATEしたアタラシイヒモノ
https://himono.design/
-釜戸と薪火でつくる究極のお餅 THE OMOCHI
https://theomochi.com/
-飲むみりんMe(顧問担当)
■未来食(食べられる花事業)
-食べられる花屋(EDIBLE GARDEN)
-エディブルフラワー研究所
事業の根幹にある「成分分析ブランディング」について教えてください。
全国各地250名以上の生産者とお話をする中で見えてきた課題が、生産者による品質向上への努力が表に出てこない現実や薄利多売が要因となり伝統食などの継承の難しさでした。このままでは、“生産者が報われない、日本ならではの食文化がなくなってしまう、何とかせねば。”という強い思いから、食材の味の良さ、栄養、機能、安全性といった目には見えない価値を我々が数値化することによって、価格競争に勝つのではなくきちんと未来を見据えて事業が継続できるようにブランディする事業が成分分析ブランディングです。
その事業の一つが、無農薬栽培の食用バラ「YOKOTA ROSE」のブランディングを手掛けたことをきっかけにスタートした、100%化学農薬不使用のエディブルフラワー専門店「EDIBLE GARDEN」の運営です。
食べられる花屋「EDIBLE GARDEN」とは。
一般的な食生活の中で決して主役になることが少なかった食用バラが、無農薬栽培の食用バラ「YOKOTA ROSE」に出会ったことがきっかけで、この感動を多くの方に知ってもらいと私の心を動かしました。花食のカルチャーを作ることをゴールに様々な取り込みを行っています。
「YOKOTA ROSE」との出会いのきっかけはこちらよりご覧いただけます。
食用バラは香りがなく食用として好まれない味のものが多く、そして農薬をつかっている花がほとんどな中で、香りや味わいがあり、おいしくて感動があるのが「YOKOTA ROSE」です。
こちらを成分分析にかけて品質の見える化を行ったところ一般流通する食用バラと比べて香り高さが約3,840倍であることがわかりました。この時、生産者の様々な苦労が報われたなと感じた瞬間でした。圧倒的な香り高さのエビデンスを価値化し、これまで販売していたYOKOTA ROSEの価格を再設定、卸販売を中心に展開しています。ミシュラン二つ星レストランでの採用、有名百貨店、大手外資系ホテルのアフタヌーンティーでの採用など数多くの企業様とのコラボレーションが実現しています。そんな中、花の新たな食体験を提供したいという思いから2022年3月からは「美味しい花食体験」を創作する「エディブルフラワー研究所」も設立しました。
「美味しい花食体験」を創作する「エディブルフラワー研究所」とは。
簡単に言うと、おいしい花の「実験室」です。世にない「おいしい花品種」を栽培し、トップクリエイターと共に「おいしい花体験」を創作。通販や催事、店舗を通して発表しています。
これまで、バラのシュークリームやパフェ、反響の大きかった中の一つには、コーヒー マメヤ カケルさんとのコラボ企画で実施した「バラのコーヒーのフルコース」なども発表させていただきました。
コーヒー マメヤ カケルさんとのコラボ企画で実施した「コーヒー×食用バラのフルコース」
香り高い味わいと初めての体験に、驚きと喜びの声を沢山いただきました。
バラジャム2個セット 3,240円
その他、弊社の通販サイトで販売している「バラのジャム」も大変好評いただいております。
世界でもあまり類を見ない香りの素晴らしい食用のバラ。この素晴らしさをどうやったら多くの人に伝えられるか?から考え、花弁をそのままお召し上がりいただけるジャムに。お砂糖はグラニュー糖を使用しているためプラントベースの方におすすめです。
そのままはもちろんのこと、バラジャム+プランベースアイス、バラジャム+バゲット+ヴィーガンバターなどを組み合わせるのもおすすめです!
https://eflab.jp/flower-jam/
ヴィーガンにおすすめの食用バラを使用した製品を教えてください。
1つ目、世界初、通年出荷が可能な食用バラ「Nobel Rose」です。
無農薬栽培が難しい香り高いバラを、化学農薬不使用かつ通年で提供ができる栽培技術を確立し誕生させました。
クリスマスやバレンタインデーなど、生の食用バラの流通がなくなる冬期にも高品質な食用バラをお求めやすい価格で提供できるのが特徴です。ぜひ、ヴィーガンスイーツづくりにもお役立てください。
2つ目、7種類以上の薔薇の香りをウォッカに移した「薔薇のスピリッツ」です。
世界でトップクラスの花の食体験では先をいっていると自負しているプログラムの一つで、約10種類のバラの花びらを液体窒素で凍らせ砕きパウダー状にしたものを抽出しローズウオッカに。ぜひ、ストレートで薔薇の複雑かつ華やかな香りと味を楽しんでもらいたいです。
野菜、果物、ハーブなどを使って新鮮なカクテルを作るミクソロジスト 南雲主于三氏のBAR「memento mori」(東京・虎ノ門)で体験頂くことが可能です。
3つ目、東京・銀座資生堂ビル10階にある、イノベーティブイタリアンレストラン「FARO(ファロ)」のコース料理にていただける「ヴィーガン花のタルト」です。
FAROのシェフ・パティシエである加藤峰子氏も“食用花は飾りとしての域を出ないイメージでしたが、花そのものを主役として味わうという初めての経験でした。”とうれしいコメントをいただいており、食のプロも認める食用花をぜひ、ヴィーガンライフを送る方にも知っていただきたいです。
https://eflab.jp/column/faro-flower-tart/
現在手掛けている製品の中でヴィーガンが取り入れやすいものはありますか。
日本の伝統食に関しては、調査をしていく中で早急にメスを入れないといけないカテゴリがあり、中でも「本みりん」の事業継続については早急に手を加える必要があるということがわかりました。
過去には「Rice liqueur(飲むみりん)」の文脈で商品開発に携わりましたが、酒税法の関係でプロジェクトは頓挫するなど、新規事業を検討する中でも最もハードルが高い分野が「本みりん」でした。
そんな中、有限会社神田豊島屋 開発者兼取締役の木村倫太郎氏( Rintaro Kimura )が、飲むみりん「Me」を“麹のリキュール”として発表しました。
Me 無濾過生原酒 2,420円
その後、"世界三大酒類コンペティション(IWSC、SFWSC、ISC)”の全てで受賞をするなど、世界に誇るSAKEとして、本みりんの価値を“海外から”引き上げています。その覚悟と実行力、創造性に感銘を受け、これまでボランティアで応援させていただいたところ、顧問として拝命をいただきました。
私のミッションとしては、『“飲むみりん”を日本酒、焼酎に続く第3のジャパニーズアルコールにすること』はもちろんですが、今後は様々な食の主義の方にも役立つメニューの提案も行っていければと思います。
砂糖不使用なのに甘味が強く、ヴィーガンライフを送る方には砂糖の代替品としての使用もおすすめです。火を通していないので、生きた酵素が含まれており、リンゴや蕎麦よりもさらに低い超低GI値飲料としてもぜひ注目していただきたいです。お酢とこちらのMeを割って飲む、健康にも美容にも嬉しいオリジナルカクテルもおすすめです。
https://www.toshimaya-ritashop.jp/product/me-%E7%84%A1%E6%BF%BE%E9%81%8E%E7%94%9F%E5%8E%9F%E9%85%92/
事業を通して、実現したい未来はありますか。
モノづくりしたい人が全力でモノづくりに集中できることはとても幸せなことだと思いますので、そのような未来が実現できるようにサポートできたらうれしいです。
また、まだ知られていない食の幸福度が広がる未体験ゾーンを多くの方に伝えていきたいです。
未体験ゾーンは、日本の丁寧なモノづくりの中にあると思っています。そこを私たちがより分かりやすく視覚的に伝えていけるがキーだと思っています。これからも、食で感動する体験を作っていきます。
https://ediblegarden.flowers/