ヴィーガンのこれからを徹底予測! “Vegan女王”室谷真由美さん Vol.3
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特定非営利活動法人日本ヴィーガン協会理事長を務め、日本におけるヴィーガンの第一人者としても知られる室谷真由美(むろや・まゆみ)さんにVeganlife編集部が突撃インタビュー。最終回となる今回は、室谷さんが考える「日本におけるヴィーガンのこれから」について語っていただきました。
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実態を把握できないほど低い認知度。日本におけるヴィーガンの今
――まだまだヴィーガンの認知度が低い日本。室谷さんが考える“日本のヴィーガンの現状”について教えてください。
室谷:世界的に見ると増えているといわれているヴィーガン人口ですが、日本では“実態調査にさえ至っていない”のが現状です。これまでに2000人程度の規模で調査をした会社はありましたが、週に1回ベジタリアン生活を送る程度の“ゆるベジ”を含めてもわずか5.7パーセント(2019年調査)と大変低い数字。残念ながら「ヴィーガンと聞いてもピンとこない」という人がほとんどかもしれません。
――室谷さんの体感としてはいかがですか?
室谷:大勢からの認知には至っていないものの、少しずつヴィーガンという単語が広まっているのは感じていますね。まず、以前と違って飲食店の人に“ヴィーガン”という単語が伝わるようになりました。大手チェーンでも、東京オリンピックをきっかけに訪日外国人客にたいしてヴィーガン食やベジタリアン食を提供できるように舵を切ったところは少なくなかったように思います。
また、私が講義をしている専門学校の生徒たちのなかにも「ヴィーガンを知っている」「ヴィーガン食を食べたことがある」という子は意外にも多いんです。Netflixでヴィーガンのドキュメンタリー作品を観たことをきっかけにヴィーガンに関心を持った子や、Instagramをきっかけにヴィーガンレストランめぐりをしている子などさまざまですが、若い世代から認知が広がっていくのは嬉しいことですね。
ヴィーガン認証協会発足で日本でも「ヴィーガンをわかりやすく」を実現
――室谷さんが新たに発足した「ヴィーガン認証協会」とはどのような機関ですか?
室谷:日本ヴィーガン協会が掲げる「ヴィーガンをわかりやすく」を実現するために、ヴィーガン対応されたものかどうかを審査し、審査をクリアした商品、レストランに認証マークを取得していただくための機関です。
海外では、どれがヴィーガン対応されている商品なのか、またヴィーガン対応が可能なレストランかどうかを明確に示すためにヴィーガン認証を取得するのがスタンダードですが、日本ではまだ一般的ではありません。ヴィーガン認証マークがあれば、たとえ日本語がわからない方でもヴィーガン対応されているかどうかが一目でわかるようになります。食の多様性が叫ばれる今だからこそ、ヴィーガンの方に安心して食事を楽しんでもらえるよう、ヴィーガン認証マークの取得を推奨しています。
――ヴィーガン認証を受けるにはどのような手続きが必要なのですか?
室谷:飲食店の場合、チェックリストをご提出いただき、ヴィーガン食の対応状況に応じて「All Vegan」もしくは「Option Vegan」の認証ステッカーをお送りしています。食品やコスメなどの商品の場合、原材料や二次原料、クルエルティフリー(動物実験をしていないかどうか)などの条件をクリアしていただくことで商品専用のヴィーガン認証マークを使用していただけるようになります。
「ヴィーガン認証を取得したい」「ヴィーガン料理の提供を始めたい」と考えている飲食店の方は、Zoomなどを使ったセミナーなども行っていますので、ぜひ一度お問い合わせいただきたいですね。
ヴィーガンもヴィーガンじゃない人も。食事をともに楽しめる未来を!
――日本でのヴィーガンは、これからどのように変わっていくのでしょうか。
室谷:海外の事例を見ている限り、日本でも「どこのレストランに行っても最低でも一品はベジタリアンメニューに出会える」というところまでは成熟できるんじゃないかなと思っています。ヴィーガンの専門店が増えていくというよりは、ヴィーガン対応も可能なレストランが増えていくといったイメージです。世界でヴィーガン人口が増えている以上、日本でも食の多様性を理解し、尊重していける環境づくりは急務です。大手レストランチェーンもヴィーガン食・ベジタリアン食を導入し始めているので、ヴィーガンの人も一緒に食事を楽しめる未来はそう遠くないのではないでしょうか。
――ヴィーガンの認知度をあげていくために、一人ひとりができることはありますか?
室谷:まずは一人ひとりがヴィーガンライフを楽しく無理なく実践することが大事ですね。まだ環境が整っていない日本でヴィーガンを実践し続けるのは簡単ではないので、たまたまヴィーガンメニューを見つけたから食べてみる、ヴィーガン対応の商品を手に取ってみる…など、できることから続けてみるのがいいですね。楽しみながら実践するその姿こそ、ほかの人がヴィーガンに興味を持つきっかけになるかもしれません。そうやって「楽しい!」で広がっていくのが理想です。
――ありがとうございました!
日本におけるヴィーガンの第一人者として、自らも楽しみながらヴィーガンを実践し続ける室谷さんの願いは「多くの人がヴィーガンに関心を持ち、ヴィーガンという選択が当たり前に尊重される未来をつくっていくこと」。まずは私たち一人ひとりが、無理なく楽しみながらヴィーガンライフを体験し、週1ヴィーガンの輪を広げていきたいですね。
※撮影のため一時的にマスクを外しています。