藍や蘇芳がアイシャドウに。植物から色をつくる「amritara youniverse」2026 AW発表会へ

公開日: 2026.10.20

特集

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以前、VEGAN'S LIFEでもインタビューをご紹介した国産オーガニックブランド「amritara(アムリターラ)」。
今回は、アムリターラが展開するメイクアップライン「amritara youniverse(アムリターラ ユニバース)」の2026年秋冬新作コレクション発表会へ伺ってきました。

会場で印象的だったのは、完成したコスメだけではなく、「その色がどこから生まれたのか」まで見えるように展示されていたことです。徳島の藍や蘇芳、出雲の薔薇「さ姫」、伊勢の芍薬、日本固有の植物である高野槙など、メイクを彩る色や香りの背景には、さまざまな植物と土地の物語がありました。

植物由来であることを“やさしさ”だけで終わらせず、植物だからこそ生まれる色をどう現代のメイクアップへ落とし込むのか。今回の発表会では、そんなアムリターラならではの色づくりと、新しいオーガニックメイクの可能性に触れることができました。

「メイクもスキンケアの一部」から始まる、アムリターラの色づくり

発表会の冒頭では、アムリターラ代表であり商品開発を手がける勝田小百合さんから、ブランドのメイクづくりについて紹介がありました。
スキンケアやインナーケア、食品など幅広いアイテムを展開してきたアムリターラですが、メイクアップアイテムの開発も約15年前から続けているといいます。その根底にあるのが、「メイクも肌につけるものだからこそ、スキンケアの一部として考える」という発想です。

メイクを落とすために強いクレンジングが必要になれば、肌への負担にもつながりかねない。だからこそ、自社のクレンジングで落とせるメイクアップアイテムをつくることも大切にしてきたそうです。

色には天然色素を使用し、天然由来であっても虫由来の色素であるコチニールやカルミンは使用しないほか、シリコーンオイルや合成界面活性剤、合成防腐剤も使わないという独自の基準を設けています。香りには、オーガニックまたは野生の植物から得られる精油を選ぶなど、その考え方は色や質感だけでなく、製品全体に貫かれています。
こうした基準を守りながら、メイクとして美しい発色や質感をどこまで追求できるのか。今回のコレクションも、その挑戦の延長線上にあります。

amritara youniverseが描く、2026 AW「VESICA PISCIS」

「amritara youniverse」は、アムリターラとメイクアップアーティスト・菊地美香子さんとの出会いから生まれ、2026年3月にスタートしたメイクアップラインです。

“universe”の響きに「you=あなた」を重ね、自分の内側に広がる宇宙を表現するブランドとして誕生しました。
2026年秋冬コレクションのテーマは「VESICA PISCIS(ヴェシカ・パイシス)」。2つの円が重なることで生まれる形をモチーフに、異なるものが重なり合い、調和し、そこから新たなものが生まれていくという世界観が表現されています。

今回登場したのは、パープルからブラウンへとつながる4色のアイカラーパレットと、2色のルージュ。一見するとモードで都会的な配色ですが、その色をたどっていくと、日本をはじめとするさまざまな土地の植物へとつながっていきます。

染める植物を、まとう色へ。藍と蘇芳から生まれるパープル

会場には、今回のコレクションに関わる植物や、その色を感じられる素材が展示されていました。中でも印象的だったのが、深い青色に染まった糸。その色を生み出しているのが、古くから藍染めに使われてきた「藍」です。


今回使用されているのは徳島の藍。日本では古くから衣服などを染める植物として親しまれ、暮らしや文化の中で受け継がれてきました。さらに、今回新たに取り入れられたのが「蘇芳(すおう)」です。



(左:蘇芳 右:アメジスト)


蘇芳はマメ科の植物で、芯材から赤色を取り出すことができ、古くから染料として利用されてきました。日本にも古くから伝わり、平安時代には貴族の装束にも使われるなど、格式ある色を生み出す植物として知られていたといいます。

藍が生み出す青と、蘇芳の赤。その異なる植物の色を重ねることで生まれたのが、今回のパレットを象徴する深みのあるパープルです。
「紫色のアイシャドウをつくる」のではなく、青を持つ植物と赤を持つ植物を組み合わせて紫をつくるという発想を知ると、ひとつの色を見る目も少し変わります。これまで衣服や布を染めてきた植物の色が、今度は目元を彩る色になるというのも興味深いところです。

出雲の薔薇、伊勢の芍薬。土地と植物の物語も一緒に

今回のコレクションには、藍や蘇芳だけでなく、出雲の薔薇「さ姫」や伊勢の芍薬なども用いられています。
鮮やかな深紅が印象的な「さ姫」は島根県出雲で育てられている薔薇で、伊勢の芍薬は、伊勢神宮のほど近くで長年漢方に携わってきた「伊勢くすり本舗」によって栽培されているものだそうです。


発表会では、それぞれの植物を単なる色材として紹介するのではなく、どの土地で育ち、古くからどのように人々の暮らしの中で親しまれてきたのかという背景にも触れられていました。

植物の名前だけを配合成分として見るのではなく、その土地や文化まで含めてものづくりにつなげていく。そこにもアムリターラらしい姿勢が表れています。

アイカラーから香るのは、日本固有の「高野槙」


今回、色と同じくらい印象に残ったのが「香り」です。
アイカラーパレットの一部の練りタイプには、高野槙(こうやまき)の香りが使われています。高野槙は日本固有の植物で、高野山とも深く関わってきた樹木として知られています。アイカラーを指に取り、目元へなじませる。その短い時間に植物の香りまで感じられるというのは、一般的なアイシャドウにはあまりない体験です。

メイクを視覚だけでなく、香りも含めた時間として考えることで、毎朝の支度が少し違って感じられる。単に顔を整えるのではなく、自分自身に意識を向けるひとときとして提案されているようにも感じました。

植物の色なのに、ここまでモード。4色がつくる秋冬の表情


完成したアイカラーパレットを見ると、「植物由来」という言葉から想像するナチュラルなベージュ系とは少し異なる印象を受けます。
目を引くパープルに、赤みを含んだブラウン、ゴールドを感じるニュアンスカラーが並び、それぞれに個性がありながら、4色を合わせると不思議とまとまりが生まれます。


今回、菊地美香子さんが取り入れたのは、普段の撮影現場でも使っているという、異なる質感を重ねるテクニックです。パウダーと練りタイプを重ねることで、色そのものだけではつくれない奥行きや立体感を表現しています。

撮影現場で行われてきたプロのテクニックを、日常でも使いやすいひとつのパレットに落とし込むことで、使う側が複雑なテクニックを駆使しなくても、色を重ねるだけでニュアンスのある目元をつくれるよう設計されています。

ルージュは、自分の唇の色と重なって完成する


今回登場したルージュは2色。深みのあるカラーでありながら、塗ってみると唇そのものの色を完全に覆い隠すというより、元の色と重なりながら表情を変えていくような仕上がりです。

香りには、野ばら、ゼラニウム、パルマローザ、フランキンセンスなど、オーガニックまたは野生の植物由来の精油を使用しています。
「オーガニックだから控えめな色」というイメージではなく、ファッションにも自然になじむ洗練されたカラーに仕上げられているところも印象的でした。

菊地美香子さんが提案する、「クールだけど、クールすぎない」秋冬メイク

発表会後半には、メイクアップアーティスト・菊地美香子さんによるデモンストレーションが行われました。モデルを務めたのは、ファーストコレクションから引き続きブランドビジュアルにも登場している比留川游さんです。

今回のメイクについて、菊地さんが表現したのは「秋冬らしいけれど、クールすぎない。少し柔らかさのあるクールな印象」。
まずブラウンを目の際に入れ、細かくぼかし込むのではなく、色を置くようになじませていきます。目頭側にはあえて抜けを残し、そこへパープルを重ねることで、秋冬らしい深みがありながら重たくなりすぎない目元へ。

さらに、練りタイプのカラーを黒目の上に指でポンと重ねると、光を受けたときの質感が変化し、自然な立体感が生まれます。
デモンストレーションの中で菊地さんが何度も伝えていたのが、「ぼかさなくていい」「置くだけ」ということでした。色そのものにはしっかりと個性がありますが、使い方は決して難しくなく、メイクが得意ではない人にも取り入れやすいように考えられています。

眉にも、頬にも。ひとつのパレットを自由に使う

今回のデモでさらに興味深かったのが、アイカラーだけに用途を限定しない使い方です。
ブラウンは目元だけでなく、顔に自然な陰影をつくるシェーディングとして使い、頬には黒目の下あたりから色をのせることで、チークのようなニュアンスを加えていました。また、パープルやブラウンを眉に少し重ねるという提案も。

目元、眉、頬と、同じパレットの色を顔のさまざまな場所に少しずつ取り入れることで、秋冬らしい色を使いながらも顔全体に自然な統一感が生まれます。ひとつの用途に限定せず、使う人自身が自由に色と遊ぶ。そんな発想も、「amritara youniverse」というブランド名に通じているように感じました。

比留川游さんがまとう、植物から生まれた秋冬の色

完成した蛭川遊さんのメイクは、パープルやブラウンという秋冬らしい色を使いながらも、決して重たく見えません。肌そのものの質感や蛭川さん自身の表情を残しながら、目元に静かな強さが加わっています。

発表会では、比留川さんが普段からアムリターラのスキンケアやサプリメントを愛用していることも紹介されました。中でもお気に入りだというのがハート型のオイルで、自宅だけでなく旅行にも持っていくほど愛用しているそうです。

ブランドのビジュアルモデルとしてだけでなく、日頃から実際にアムリターラのアイテムに触れている蛭川さんだからこそ、今回の世界観にも自然になじんでいるように見えました。

和歌山の地層で撮影。自然と重なり合う「VESICA PISCIS」の世界

今回の秋冬コレクションのビジュアル撮影が行われたのは、海外ではなく日本。舞台となったのは、和歌山県白浜町です。
長い時間をかけて形成された地層を背景に、蛭川さんが身体を大きく使って表現する印象的なビジュアルが撮影されました。
撮影前日は台風の影響で飛行機が飛ばないほどの悪天候だったそうですが、撮影当日には天候が回復。自然の大地をそのまま舞台にすることで、今回のコレクションカラーと地層の色が不思議なほど調和したといいます。
身体を大きく曲げた独特のポージングにも意味があり、生命の躍動や心臓の鼓動をイメージしているそう。
植物や鉱物、地層、そして人間という異なる存在が重なり合い、ひとつの世界をつくっていく様子は、2つの円が重なり合う「VESICA PISCIS」のコンセプトともつながっています。

植物を「やさしさ」だけで終わらせない

今回の発表会を通して感じたのは、アムリターラが植物を単に「肌にやさしいもの」として捉えているのではなく、それぞれの植物が持つ色や香り、歴史、文化まで含めてメイクアップに落とし込んでいるということでした。
藍が持つ青、蘇芳が生み出す赤、薔薇の香り、高野槙の清々しい香り。そうした自然界にある個性をどう現代のメイクへつなげるのかを考えることで、オーガニックコスメの表現はさらに広がっていくのかもしれません。
自然由来だから色を妥協するのではなく、植物だからこそ生まれる色を探しながら、「何を使わないか」というブランドの基準と、「どんな表情をつくりたいか」というクリエイティブを両立させていく。
その姿勢こそが、今回の「amritara youniverse」2026年秋冬コレクションから最も強く感じたことでした。

https://www.amritara.com/c/makeup/youniverse

服部めぐみ

VEGAN’S LIFE編集長

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ヴィーガン検定1級/発酵食品マイスター。美容・食・サステナブル領域を専門とするエディター。生産者やブランドの哲学を伝える取材・編集を行う。「未来に残したい価値を、読者の心に残るコンテンツへ。」をテーマに、プラントベースを軸とした新しいライフスタイルを発信している。

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