300年続く老舗和菓子店が、ヴィーガンどら焼きを作った理由
公開日: 2022.12.5
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三重県鈴鹿市白子で300年、代々受け継がれてきた和菓子屋「大徳屋長久」。江戸時代に誕生した和菓子は時代の変化と共に新たな挑戦をし続けている。今回、老舗和菓子屋さんがなぜ、ヴィーガン&グルテンフリーのスイーツに着目し商品開発までいたったのかを大徳屋長久の16代目久兵衛「竹口久嗣」氏に伺った。
大徳屋長久 16代目久兵衛「竹口久嗣」氏
大徳屋長久について教えてください。
大徳屋長久の創業は享保元年(1716年)江戸時代のことです。紀州藩御用達の菓子司として、明治に至るまで藩に菓子を献上し、昭和26年には天皇にも菓子を献上したとの記録が残っています。
大徳屋といえば「小原木」と言ってくださる方も多いのですが、この「小原木」というお菓子は、大徳屋初代当主の久兵衛が作ったものです。
歴史を引き続き守っていきながら、同時に伝統に甘んじることなく、今の時代に合わせた新しい和菓子の形を模索しています。「かりんとう饅頭」「飲めるほどに柔らかい大福」「さわってつくってたべる絵本」など様々な世代に新しい和菓子の魅力を伝えていけるよう「伝統と革新」をテーマにもち新製品の開発にも積極的に取り組んでいます。その中の一つが、ヴィーガン&グルテンフリー対応の商品開発です。
大徳屋長久の本気のどらやきが誕生したきっかけ。
日本の無形文化の「和菓子」をもっと多くの方に知ってもらいたい!食べていただきたい。そんな思いをテーマに掲げ、沢山ある和菓子の中でも世界的に認知度の高い「どらやき」に着目しました。
どら焼きは、カステラ風の生地に餡子を挟んだ和菓子です。しかし、生地には小麦粉・はちみつ・卵・白砂糖などを材料に作られているものが多いです。そのため、アレルギーや食の主義の違いによって召し上がれない方もいらっしゃいます。新製品の開発には、ワンテーブルで一緒に食べられるものを開発したいという思いが強くあり、「グルテンフリー&ヴィーガン」対応のどら焼きづくりにチャレンジすることにしました。
和菓子において、ヴィーガン&グルテンフリーのスイーツを作るのは難しいこと?
餡子に関しては、砂糖を白砂糖から甜菜糖・有機のブルーアガベなどに変えることで対応ができ、正直ハードルはそこまで高くなく、しかし生地部分は苦戦しました。どら焼きの皮を作るときは、一般的には卵を入れることで生地をふっくらさせるのですが、ヴィーガン対応の生地は、卵・乳製品は使用できないためもっちり感のある生地を再現するために幾度となく原材料の組み合わせを考えました。しっとり、ふっくらさせることにフォーカスし日々アップデートし完成したものが「大徳屋長久の本気のどらやき」です。
小麦粉・動物性食品を使用せずにしっとり美味しいどらやきを作るためには、レシピの配合だけでなく、わずかな手順の違いも仕上がりに大きな影響を与えます。繊細な生地を扱うため、餡は必ず職人の手作業で包み、製造後の保存も徹底した管理の下で常に細心の注意を払い、製造しています。
「大徳屋長久の本気のどらやき」のおすすめの召し上がり方について教えてください。
よくあるどら焼きより、ひと回り小ぶりで作っているので罪悪感なくお楽しみいただけると思います。お茶はもちろん、コーヒーや白ワインとのペアリングもおすすめです。
フレーバーは、「あずき」「抹茶」「ほうじ茶」「いちご」「さつまいも」の5種です。夏は冷凍のままどら焼きアイスとして、半解凍でしっとり食感を楽しんでみてほしいです。
ふんわり食感を楽しみたいときは、常温に戻して、出来立てのもちもち食感を楽しみたいときはレンジで温めてください。その際にヴィーガンバターを挟んで「バターどら焼き」として楽しむのもおすすめです。
ヴィーガン&グルテンフリーの和菓子をとして、実現していきたい未来とは。
日本の和菓子を世界中の人に知ってもらいたい、安心して食べてもらえる製品を作り世界に発信していきたいと思っています。地方の和菓子屋さんの中には世界に誇れる良いものを作っているにも関わらず発信の仕方がわからない、店舗でしか販売してないことが理由で多くの人に知ってもらうきっかけを持てない方もいらっしゃいます。そこで、日本の和菓子を世界の人から注目してもらうことで地方貢献もしていきたいと思います。和菓子がヴィーガン・グルテンフリーに対応することで世界中の人に知ってもらえる機会になると信じています。
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