「我慢しないグルテンフリー」という選択。揺れながら見つけた、心地よい食との向き合い方
公開日: 2026.4.27
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「食べたいのに、食べられない」
そんな感覚を抱えたことはありますか?
グルテンフリーやプラントベースと聞くと、どこかストイックで、制限の多い食生活を想像する人も少なくないかもしれません。でも今回お話を伺ったのは、“我慢”ではなく“選択”として食と向き合っている方。KITTOISTの「林」さん。
無理に完璧を目指すのではなく、揺れながら、自分に合う形を見つけていく。その過程には、これから始めたい人にとってのヒントが詰まっていました。
「気づいたらグルテンフリーだった」——始まりは高校時代
グルテンフリーを始めたきっかけは、高校生の頃に取り組んだ糖質制限ダイエットだったといいます。
「当時は知識も浅くて、結果的に小麦を避ける生活になっていました。あとから“グルテンフリー”という言葉を知ったんです」明確な意思を持って始めたわけではなく、気づけばそうなっていた。そんな自然な入り口が、今の食生活につながっています。
一方、プラントベースの食事を選ぶ機会が増えたのは、大学進学を機に。.jpg)
「自炊や買い物を自分でするようになって、“食べたあとに罪悪感が残るもの”や“体に負担がかかりそうなもの”を、無意識に避けるようになりました」その中で出会ったのが、ヴィーガンやプラントベースの表示。
「“これなら大丈夫”“苦しくならない”という、お守りみたいな存在に感じて。自然と選ぶようになっていました」
体型は変わった。でも、それだけじゃなかった
食生活を変えたことで、体重は減り、体型にも変化があったといいます。
ただ、その一方で、体調を崩しやすくなったという側面も。
「数字や見た目だけではなく、“どう続けるか”を考えるようになりました」
ここで彼女が気づいたのは、“正しさ”だけでは続かないということ。無理な制限は、どこかでバランスを崩してしまう。だからこそ今は、完璧を目指さないことを大切にしています。
続けるコツは、「制限しすぎないこと」
社会人になってからは、外食の場面で苦労することも増えました。
「麺類のお店に入れなかったり、同行者に気を遣わせてしまったり・・・。自分だけ待つこともあって、申し訳なさを感じることも多かったです」
家族との関係でも、葛藤はあったといいます。
「“食べたいのに食べられない”という感覚がうまく伝わらなくて、何度もぶつかりました」
それでも続けてこられた理由は、たったひとつ。
「制限しすぎないこと。これが一番大きいと思います」
“これは大丈夫”と思える選択肢を、少しずつ増やしていく。その積み重ねが、無理のない食生活につながっています。
「押し付けない」——食の選択に対する考え方
林さんが今、大切にしている価値観のひとつが「押し付けないこと」。
「過去に、“ちゃんと食べた方がいい”と言われたことがあって、自分なりに考えて選んでいる食事を否定されることに、すごく苦しさを感じました」だからこそ今は、どんな食の選択も否定しない。
「その人の背景や考えを知りたいと思っています」
食は、とても個人的なもの。正解はひとつではないからこそ、“違いを認める”という姿勢が、林さんのスタンスになっています。
広島での暮らしが教えてくれたこと
大学進学をきっかけに移住した広島での生活も、食との向き合い方に変化をもたらしました。
「地元の素材に触れたり、生産者さんと繋がったりする機会が増えて、より近い産地のものを選ぶようになりました」.jpg)
援農での、広島の農園にて
直売所や援農などで、採れたての野菜とその生産者さんに出会う。そんな日常が、食への意識を自然と変えていったといいます。
地方ならではの魅力については、こんな言葉が印象的でした。
「日常で出会える機会が少ない分、偶然見つけたときの嬉しさが大きいと感じています」
出会ったら、また行きたくなる場所
広島でおすすめのカフェとして教えてくれたのが、ninin。
グルテンフリーかつプラントベースのスイーツが楽しめる、貴重なお店です。
「ご夫婦のやわらかい雰囲気がそのままお店に表れていて、あたたかさに包まれる空間なんです」
“食べられる安心感”だけでなく、“過ごしたくなる空気”もまた、食の体験の一部なのかもしれません。
「また食べられる」と思えた瞬間
これまでに出会った中で、特に印象に残っているのが、UP BEET! Tokyoのドーナツ。
「とてもおいしいのに、プラントベースでグルテンフリー、白砂糖不使用。ドーナツ界の異端児だと思っています(笑)」
なかでもお気に入りはキャロットケーキ味。
「“好きだったドーナツをまた食べられる”と感じた、思い入れのある一品です」
同じくよく購入するのが、ovgo Bakerのクッキー。
「季節限定も含めてどれも魅力的で、つい手に取ってしまいます。春限定のさくらもちクッキーが特にお気に入りです」
続けるために大切なのは、「余白」
グルテンフリーやプラントベースをこれから始める人へ。
林さんが伝えたいのは、「一気に変えなくていい」ということ。
「夜だけ置き換えるとか、外食は楽しむとか、ゆるく始めるのがおすすめです」
そしてもうひとつ、大切にしている考え方があります。
「“我慢”ではなく、“選択”として捉えること。そして、食べたあとは調整すればいいと、自分に余白を持たせることです」
完璧じゃなくていい。揺れてもいい。そう思えることが、長く続けるための鍵になっています。
食べることは、整えること
休日や仕事終わりにはランニングを楽しみ、3月にはフルマラソンも完走。最近は全国の和菓子巡りにもハマっているそう。
「和菓子はグルテンフリーやプラントベースのものも多くて、安心して楽しめるんです」.jpg)

林さんお気に入りの和菓子
そして、自分を整える習慣として続けているのが「書くこと」。
noteやInstagram、日記に言葉を綴ることで、自分の気持ちや価値観を整理しています。
https://note.com/hitokuchime_1031
食を変えることは、人生を変えることではないかもしれません。
でも、“どう食べるか”を考えることは、“どう生きるか”に、少しずつつながっていく。
我慢ではなく、選択として。
揺れながらでも、自分に合う形で続けていく。
そんな食との向き合い方が、これからの暮らしを、少しだけ心地よくしてくれるのかもしれません。



