ヴィーガンとオリエンタルヴィーガンの違い、五葷抜きとは？

公開日: 2025.5.26

「ヴィーガン（Vegan）」といっても、実はさまざまな種類があります。それぞれのスタイルや考え方によって、実践の仕方が異なります。今回は、オリエンタルヴィーガンにフォーカスします。一般的なヴィーガンの中でも少し特別なカテゴリーで、東洋（主に中国）における宗教的・文化的な背景から生まれたヴィーガニズムです。日本語では「東洋式ヴィーガン」「中華精進料理」とも言われることがあります。

オリエンタルヴィーガンの特徴について

オリエンタルヴィーガンの基礎知識とごくん（五葷）抜きとは

オリエンタルヴィーガンは、通常のヴィーガン食に加え、仏教の教えに基づいて「ごくん」と呼ばれる特定の野菜を避ける食事法を行います。「ごくん」とは、ネギ属の植物を中心とした、独特の刺激臭を持つ5種類の野菜を指し、具体的にはネギ、ラッキョウ、ニラ、ニンニク、タマネギが含まれます。

これらの野菜は、一般的な料理においては風味を豊かにする重要な役割を果たしますが、オリエンタル・ヴィーガンの考え方では、心身を刺激し、精神的な安定を妨げると考えられています。そのため、修行に励む人々は特にこれらの野菜を避ける傾向があります。しかし、近年では宗教的な理由だけでなく、健康上の理由や個人の嗜好によって「ごくん」を避ける人も増えています。

ごくんを控える理由について

仏教的な背景

仏教では、殺生を禁じ、煩悩を刺激するものを避けることが重視されます。そのため、刺激の強い野菜である「ごくん」は、修行の妨げになると考えられてきました。精神を安定させ、瞑想に集中するため、これらの野菜を避けるという食の戒律が生まれました。ごくんを避けることは、心身を清め、より高い精神性を追求するための手段とされています。

精神的・身体的な影響

ごくんを摂取しないことは、精神と身体に様々な影響を与えると考えられています。刺激の強い食品を避けることで、感情の波が穏やかになり、精神的な安定につながると言われています。また、身体面では、消化器官への負担が軽減され、身体の内側から健康をサポートするとも考えられています。しかし、これらの影響は個人差が大きく、科学的な根拠もまだ十分ではありません。

ごくん抜き「オリエンタルヴィーガン」向け調理の工夫について

オリエンタルヴィーガン向けの調理では、ごくんを避ける工夫が必要です。風味を補うためには、昆布や椎茸などから丁寧にとった出汁を使い、料理に深みを加えることが重要です。素材本来の味を生かすレシピを心がけ、ごくんがなくても満足できる工夫を凝らしましょう。また、スパイスを上手に活用することで、風味豊かに仕上げることができます。

しっかりとした出汁を活用する

オリエンタルヴィーガンの料理には、しっかりとした出汁が欠かせません。昆布や椎茸から丁寧にとった出汁は、料理に奥深い風味と旨味を与え、ごくんを使用しなくても満足感を得られると思います。

出汁を基本にすることで、素材本来の味を最大限に引き出すことができ、和食に限らず、様々な料理に応用できるのがポイントです。しっかりとした出汁は、オリエンタルヴィーガン料理に欠かせない要素ですので、料理をする際にはぜひ出汁を活用することにこだわってみてください。

素材の風味を生かすレシピ

ごくんを使用しない代わりに、新鮮な旬の野菜や果物をふんだんに使い、素材本来の甘みや旨みを引き出すことがポイントになります。また、ハーブやスパイスを効果的に活用することで、風味豊かで満足感のあるオリエンタルヴィーガンレシピを作ることが可能です。素材の持ち味を最大限に引き出すシンプルな調理法もおすすめです。

スパイスを使った風味付け

オリエンタルヴィーガンにおいて、スパイスは風味付けの重要な役割を果たします。ごくんを使用しない代わりに、様々なスパイスを組み合わせることで、料理に複雑な風味と奥行きを与えることが可能です。例えば、カレー粉やチリパウダーなどのミックススパイスを使えば、手軽にエキゾチックな風味をプラスできます。また、クミンやコリアンダー、ターメリックなどのシングルスパイスを組み合わせることで、よりオリエンタルな風味を演出することもできます。スパイスの種類や量を調整することで、和風、洋風、エスニックなど、様々な料理に合わせた風味付けが可能です。