「がんばる人を、食で支える。」受験フードマイスター・安部加代子さんに聞く、無理なく続けるプラントベース習慣
公開日: 2026.4.24
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「食事を整えたい」と思っていても、毎日完璧に続けるのは難しいもの。忙しい日が続くと、つい“作業”のようになってしまうこともあります。それでも、できることなら、大切な人のコンディションを食で支えたい。
そして、自分自身も整えていきたい。そんな想いに、やさしく寄り添ってくれるのが、料理研究家であり受験フードマイスターとしても活動する安部加代子さんです。
KITTOIST 受験フードマイスター 安部加代子さん
レシピ開発や商品づくりに携わりながら、「がんばる人を食で支える」という軸を大切にしてきた安部さん。今回は、食とパフォーマンスの関係、日々の食事で意識していること、そして無理なく続けられるプラントベースの取り入れ方について伺いました。
「食で支える」という想いは、幼いころの記憶から
安部さんの食への向き合い方の原点は、子どものころにあります。ご自身はアトピーがあり、幼いころからお母さまが食事にとても気を配ってくれていたそうです。手作りのごはんやおやつは、体だけでなく心も満たしてくれる存在でした。
「自分も同じように、食で支えられる存在でありたい」
その想いは自然と積み重なり、やがて今の仕事へとつながっていきます。
受験期に出会った、“食で支える”という選択
転機となったのは、長男の中学受験を控えた時期でした。
「勉強面は塾でサポートできる。でも、それ以外で自分にできることは何だろう」
そんな中で出会ったのが、「受験フード」という考え方でした。
根菜カレーそぼろ
試験は長時間に及び、午前だけでなく午後まで集中力を保つ必要があります。そのためには、ただお腹を満たすのではなく、眠くなりにくい食事や適切な補食など、食事の内容やタイミングが重要になります。
「スポーツと食事の関係はイメージしやすいけれど、勉強にもここまで関係があるんだと」
食事は、見えないところでパフォーマンスを支えている。その実感が、安部さんの活動の軸になっています。
集中力を支えるのは、“特別な食事”ではなく“整った生活”
集中力を高めるために必要なのは、特別な食材だけではありません。炭水化物・たんぱく質・脂質という三大栄養素に加え、それらをエネルギーに変えるビタミンやミネラル。

そして、朝ごはんを食べること、決まった時間に食事をとること、しっかり眠ること。
「食事は、生活そのものを整える大事な要素だと思っています」
逆に、朝食を抜いたり、おやつやエナジードリンクに頼ったりする食生活は、血糖値の急な変動を引き起こし、眠気や疲れにつながることもあります。だからこそ、“整えること”をベースにした食習慣が大切だといいます。
受験期におすすめなのは、シンプルな和食
特別なメニューよりも、安部さんがすすめているのは、シンプルな和食です。旬の野菜や果物を取り入れることも大切にしていて、ストレスが多い時期にはビタミンCを意識的に補うこともポイントのひとつ。一方で、油っこいものや刺激の強い食事は、胃に負担がかかるため控えめに。
「毎日完璧に整えようとするとしんどくなるので、3日とか1週間くらいのスパンでバランスを見ています」
“今日できなかったら、明日整える”そんな柔軟さが、続けるためのコツです。
プラントベースは、“我慢”ではなく“広がり”
安部さんがプラントベースを意識するようになったのは、マクロビオティックを学んだことがきっかけでした。豆類や雑穀類など、植物性の食材には栄養価の高いものが多く、血糖値も安定しやすい。パフォーマンスを意識するうえでも、自然と取り入れるようになったといいます。また、動物性食品を減らしたことで、消化の違いを感じるようになり、特に夜は食べる量やタイミングを意識するようになりました。ただし、すべてを置き換える必要はありません。
「プラントベースは難しく考えなくて大丈夫。和食を取り入れるだけでも、自然と増えていくと思います」
「NG」ではなく、「楽しみ」を増やす
プラントベースを取り入れるときに大切なのは、「あれはダメ」と制限することではなく、「これも試してみよう」と楽しむこと。豆腐や豆類をひとつ取り入れるだけでも、食の幅は広がります。
米粉のクレープ
植物性ミルクも種類によって味わいが違い、自分の好みを見つける楽しさがあります。
「食の選択肢が増えることで、食事自体が楽しくなると思います」
朝を整えることが、1日を整える
安部さんが特に大切にしているのが「朝ごはん」です。玄米、味噌汁、あえ物をベースに、しっかりと食べる。ときには、夕食用だったおかずを朝に食べることもあります。果物も必ず取り入れ、1日のスタートを整え、昼は手軽に、夜は消化にやさしく。
無理なくバランスをとりながら続けているのが印象的です。
無理をしないことが、続けるためのいちばんのコツ
「無理をしないこと。あえて意識しすぎないこと」
忙しい日は、料理が作業のように感じてしまうこともある。それでも、誰かが「おいしい」と言ってくれるだけで、救われる気持ちになる。そんな日常のリアルも、安部さんはそのまま大切にされています。
安部さんのお気に入り調味料(いただきものや旅先で出会ったもの)

手作り調味料(左から梅酢(赤しそ)、梅酢(白)、醤油麹、塩麹、甘酒(奥))
麹調味料を活用したり、豆腐やきのこを常備したり。小さな工夫を重ねながら、“続けられる形”をつくっているのです。
外食は楽しんでいい。日常で整えればいい
食に気を遣っていると、外食をどうするか悩むこともあります。でも安部さんは、「外の食事はエンターテインメント」と考え、好きなものを楽しむことも大切にしています。
「普段の食事で整えていれば、外食で崩れても、また戻せば大丈夫」
その柔軟さが、長く続けるための安心感につながっています。
「完璧じゃなくていい」という選択
最後に、読者へのメッセージとして印象的だった言葉があります。
「NGを考えると楽しくなくなってしまうので、まずは“いいものを知る”ことから始めてほしいです」
市販品も上手に使いながら、少しずつ整えていく。 毎日完璧でなくてもいい。何日かの中で整っていれば、それでいい。
食事は、がんばる人を支えるもの。そして、自分自身を大切にするための時間でもあります。
無理なく、やさしく、少しずつ。
安部さんの言葉には、そんな食との向き合い方のヒントが詰まっていました。



