プロテインの次は食物繊維?「ファイバーマキシング」は、美容と腸活の未来になるか

公開日: 2026.9.8

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プロテイン、高たんぱく、腸活、発酵食品。
健康をめぐるトレンドが次々と生まれるなか、2026年、世界で改めて注目されているのが「食物繊維」です。


欧米のSNSを中心に広がっているのが、「ファイバーマキシング(fibermaxxing)」という新しい食習慣。最近では日本のテレビやメディアでも取り上げられ、次のウェルネストレンドとして関心が高まっています。食物繊維を積極的に摂ることは、本当に腸や肌にとってよいのでしょうか。そして「できるだけ多く摂る」という考え方に、問題はないのでしょうか。健康と美容、両方の視点から考えてみます。

ファイバーマキシングとは

ファイバーマキシングとは、食物繊維を意味する「fiber」と、「最大化する」という意味の「maximizing」を組み合わせた言葉です。野菜、果物、豆類、全粒穀物、ナッツ、種子類など、食物繊維を多く含む食品を毎日の食事に積極的に取り入れ、摂取量を増やしていく食習慣を指します。


従来の腸活では、ヨーグルトや発酵食品などに含まれる菌を「摂る」ことに注目が集まりがちでした。一方、ファイバーマキシングでは、腸内細菌のエサとなる食物繊維を「届ける」ことを重視します。いわば、菌を足すことだけではなく、すでに腸内にいる菌を育てるための食事です。

日本人は、食物繊維をどのくらい摂れている?

厚生労働省の令和6年「国民健康・栄養調査」によると、日本人成人の食物繊維摂取量は、1日平均18.1g。20〜40代では16g前後にとどまっています。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人男性は1日20g以上、女性は18g以上が目標量。一方、WHOは、成人に対して食品から自然に含まれる食物繊維を1日25g以上摂ることを推奨しています。

つまり、日本では「極端に増やす」以前に、まず不足しがちな量を補う必要がある人が少なくありません。厚生労働省も、最初は1日あたりプラス3〜4gを目安に、無理のない範囲で増やす方法を勧めています。
厚生労働省「食物繊維の必要性と健康」

食物繊維は、腸で何をしている?

食物繊維は、人の消化酵素では分解されにくく、小腸で吸収されずに大腸まで届きます。便のかさを増やして排便を助けるだけでなく、一部の食物繊維は腸内細菌によって発酵・分解され、酢酸、酪酸、プロピオン酸などの「短鎖脂肪酸」を生み出します。

短鎖脂肪酸は、大腸の細胞のエネルギー源になるほか、腸内を弱酸性に保ち、腸内環境の維持に関わる成分です。ただし、食物繊維は一種類ではありません。水に溶けやすい水溶性食物繊維、水に溶けにくく便のかさを増やす不溶性食物繊維、腸内細菌に利用されやすい発酵性食物繊維など、それぞれ働き方が異なります。

大切なのは、特定の食物繊維だけを大量に摂ることではなく、穀物、豆、野菜、果物、海藻、ナッツなど、さまざまな植物性食品から摂ることです。

健康面で期待されるメリット

1.排便のリズムを支える

食物繊維は便の量や水分量に関わり、排便をスムーズにする働きがあります。
ただし、便秘の原因は食事だけではありません。水分不足、運動不足、ストレス、服薬なども関係するため、食物繊維だけで解決しようとしないことも大切です。

2.食後血糖値の急上昇を穏やかにする

一部の水溶性食物繊維は、胃腸内で水分を含んで粘性を持ち、糖質の吸収を緩やかにします。また、食物繊維を含む穀物や豆類は、精製されたパンやお菓子に比べて咀嚼回数が増えやすく、満足感につながる点もメリットです。

3.コレステロールや生活習慣病との関連

世界各地の大規模な研究をまとめた分析では、食物繊維を多く摂る食生活は、心血管疾患、2型糖尿病、大腸がんなどのリスク低下と関連することが報告されています。特に、1日25〜29g程度の摂取で、多くの健康指標との関連がみられたという。ただし、これは「食物繊維を摂れば病気を防げる」という意味ではありません。食物繊維を多く摂る人の食生活全体が、野菜、果物、豆、全粒穀物などを多く含んでいることも考慮する必要があります。

美容面では、どこまで期待できる?

腸内環境と皮膚の状態が互いに関係する「腸―皮膚軸(gut-skin axis)」の研究は進んでいます。腸内細菌がつくる代謝物や免疫反応、全身の炎症などが、皮膚のバリア機能や肌状態に関わる可能性があると考えられています。

食物繊維を多く含む食生活には、血糖値の大きな変動を抑えやすいことや、野菜・果物・豆類に含まれるビタミン、ミネラル、ポリフェノールなども同時に摂れるメリットがあります。一方で、現時点では「食物繊維を増やせば、肌の水分量が上がる」「シワやシミが改善する」と直接的に断定できるほどの科学的根拠はありません。

ファイバーマキシングは、化粧品の代わりになる美容法ではなく、肌を含む全身のコンディションを支える食生活の土台として捉えるのが適切です。睡眠、紫外線対策、たんぱく質や良質な脂質の摂取などと組み合わせてこそ、美容にもつながっていきます。

「摂れば摂るほどよい」わけではない

ファイバーマキシングでもっとも注意したいのが、「max=多いほどよい」と受け取ってしまうことです。
食物繊維を急に増やすと、腸内での発酵が活発になり、ガス、腹部膨満感、腹痛、下痢などが起こることがあります。水分が足りなければ、反対に便が硬くなり、便秘が悪化する可能性もあります。

特にイヌリンなどの発酵性食物繊維は、少量では問題がなくても、一度に多く摂るとおなかが張る人がいるそうです。IBS(過敏性腸症候群)など消化器症状がある人は、食物繊維の種類によって症状が変わるため、「食物繊維」という一括りで増やさず、医師や管理栄養士に相談することが推奨されています。
米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)

また、高食物繊維をうたう加工食品だけを重ねて摂ることにも注意が必要です。「高食物繊維」と表示されていても、食物繊維以外の糖質、脂質、塩分、原材料構成は商品によって異なります。栄養成分表示だけでなく、何から食物繊維を摂れる商品なのかまで確認することをおすすめします。

&kittoで見つける、「増やす」だけではない食物繊維の選択肢

ファイバーマキシングで意識したいのは、食物繊維量の多い商品をただ重ねることではありません。穀物、海藻、ナッツ、葉物など、異なる食材から無理なく取り入れること。そして、普段の食事で不足する部分を飲料や加工品で補うことが基本です。

発酵性食物繊維を朝食に

野村乳業「マイ・フローラ グラノーラ


スーパー大麦「バーリーマックス」を使用した、発酵性食物繊維に着目したグラノーラ。

1食40gにバーリーマックスが約20g含まれ、食物繊維は約6g摂取できます。ブランドでは、植物乳酸菌を含むドリンクタイプの「マイ・フローラ」と一緒に食べることも提案しています。発酵性食物繊維を摂るグラノーラと乳酸菌飲料を組み合わせ、「菌を摂ること」と「菌のエサを届けること」の両方を意識できるのが魅力です。ただし、普段あまり食物繊維を摂っていない人が一度に量を増やすと、お腹の張りにつながることも。最初は少量から試すのがおすすめです。

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海藻から、食物繊維の種類を増やす

AMRITARA「幻の2日ひじき


大分県姫島で、1年のうちわずか2日間だけ収穫される若いひじきを使用。鉄釜で炊き上げ、天日干しで仕上げています。ひじきは、海藻由来の食物繊維を普段の食事に加えられる食材。炊き込みごはんや煮物だけでなく、サラダ、スープ、豆料理などにも使えます。ファイバーマキシングというと、食物繊維を添加した商品に目が向きがちですが、ひじきのような素材を一品加える方法も有効です。「量を最大化する」というより、食物繊維の摂取源を多様にするためのアイテムとして取り入れたい商品です。

いつもの一杯を植物性飲料に

AVE-NATUR「OAT Drink Barista


フィンランド産オーツ麦を使用した植物性飲料。コーヒーや紅茶に加えたり、グラノーラにかけたりと、普段の牛乳の代わりとして使いやすいアイテムです。食物繊維量を一度に大きく増やすためというより、「毎日飲むものを見直す」という取り入れ方に向いています飲料だけに頼らず、穀物や豆、野菜、海藻と組み合わせることで、食事全体のバランスを整えられます。

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少量ずつ、毎日の習慣に足す

AMRITARA「美緑青汁


桑葉、モリンガ、白なた豆などを使用し、有機アガベイヌリンやオリゴ糖を配合した青汁。1包3gあたり、食物繊維0.93gとオリゴ糖750mgを摂取できます。
食物繊維を大量に補う商品ではありませんが、水や植物性ミルクに溶かして、毎日の食生活に少しずつ加えられるのが特徴です。食事が不規則な日や、野菜・海藻類が少なかった日の補助として活用できます。

おやつの時間にも食物繊維を


ファイバーマキシングは、朝食や食事だけで実践するものではありません。いつものおやつを、食物繊維を含むものに置き換える方法もあります。「RAW COOKIE CHOCO CHIP FIBER」は、有機オーツ麦、有機ココナッツ、有機アーモンドなどを使い、焼かずに低温乾燥させたロークッキー。1枚あたり2.7gの食物繊維を含み、ザクザクとした食感とローチョコチップのやさしい甘さを楽しめます。

白砂糖、卵、乳製品、添加物は不使用。食物繊維を補うために我慢して食べるのではなく、「おいしいから選びたい」と思えることも、無理なく続けるための大切なポイントです。ただし、食物繊維が含まれていてもクッキーはあくまでおやつ。食事の代わりにするのではなく、コーヒーやお茶と一緒に楽しむ間食として取り入れるのがおすすめです。

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ファイバーマキシングを実践するときは、これらを一度に全部取り入れる必要はありません。まずは主食やおかずから食物繊維を増やし、足りない部分をグラノーラや植物性飲料、青汁などで補う。自分のお腹の反応を見ながら、ひとつずつ習慣にすることが大切です。

腸活の未来は「最大化」より「多様化」

ファイバーマキシングは、一時的なブームで終わらせるには惜しい考え方です。日本人の食物繊維摂取量が十分とはいえないこと、腸内細菌と全身の健康との関係が少しずつ明らかになっていることを考えると、食物繊維を意識する流れ自体は、これからの腸活として理にかなっています。

ただし、目指すべきは数字の最大化ではないと思います。玄米だけ、イヌリンだけ、サプリメントだけに偏るのではなく、穀物、豆、野菜、果物、海藻、ナッツなど、異なる植物性食品を少しずつ取り入れること。そして、おなかの状態を観察しながら、自分が心地よく続けられる量を見つけること。

腸活の未来をつくるのは、劇的な方法ではなく、毎日の小さな選択の積み重ねだと考えています。
「体によいから」だけではなく、「おいしいから、また食べたい」。の積み重ねこそが、&kittoが考えるファイバーマキシングです。

※本記事は一般的な健康情報を提供するものであり、特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。消化器疾患がある方、治療中・服薬中の方は、食物繊維の摂取量を大きく変更する前に医師または管理栄養士へご相談ください。

服部めぐみ

VEGAN’S LIFE編集長

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ヴィーガン検定1級/発酵食品マイスター。美容・食・サステナブル領域を専門とするエディター。生産者やブランドの哲学を伝える取材・編集を行う。「未来に残したい価値を、読者の心に残るコンテンツへ。」をテーマに、プラントベースを軸とした新しいライフスタイルを発信している。

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