なぜ、乳を使わなかったのか。LITTLE MOTHERHOUSEがカカオミルクでジェラートに挑んだ理由

公開日: 2026.9.3

インタビュー

レストラン

share

チョコレートの主役である、カカオ。

その可能性を模索していたら、「ミルク」までカカオからつくることができた。そして、そのミルクからジェラートが生まれた。そんなユニークな挑戦をしているのが、MOTHERHOUSEが手がけるチョコレートブランド「LITTLE MOTHERHOUSE」です。


今回登場したジェラートに使われているのは、牛乳ではなく、カカオバターと水分を独自の技術で乳化させた植物性の「カカオミルク」。興味深いのは、最初から「乳製品を使わないジェラートをつくろう」と考えて開発されたわけではないことです。

出発点にあったのは、ずっと向き合ってきた「インドネシア産のカカオ」でした。

編集部ではLITTLE MOTHERHOUSEを訪ね、なぜチョコレートブランドがジェラートをつくったのか。そして、なぜ牛乳ではなくカカオミルクだったのか。その背景を伺いました。

「植物性のジェラートをつくる」ことが出発点ではなかった

LITTLE MOTHERHOUSEがこれまで展開してきたのは、インドネシア産のカカオを使ったチョコレート。

今回のジェラートも、その延長線上から生まれています。
開発の起点となったのは、「乳製品を使わないものをつくりたい」という発想ではなく、
「カカオから、ほかに何ができるだろう」という問いでした。

カカオ豆からチョコレートをつくるだけではなく、カカオという素材の可能性を模索する。
そこで着目したのが、カカオ豆から得られる「カカオバター」でした。

カカオバターと水分を独自の技術で乳化させることで生まれたのが、植物性の「カカオミルク」。
そして、そのカカオミルクを使ってジェラートをつくるというアイデアへと発展していったといいます。

つまり、牛乳を植物性ミルクに“置き換えた”のではありません。
カカオを起点に考えた結果、牛乳を使わないジェラートにたどり着いた。

ここに、このジェラートの面白さがあります。

カカオ=チョコレート。その先にあるもの

私たちが「カカオ」と聞いて、まず思い浮かべるのはチョコレートではないでしょうか。
けれど、LITTLE MOTHERHOUSEが今回見せてくれたのは、その先にあるカカオの可能性です。

カカオ豆からカカオバターをつくり、カカオバターからミルクをつくり、さらにそのミルクからジェラートをつくる。
ひとつの素材を深く掘り下げていくことで、これまでとは違う食べ方が生まれていきます。

開発はすぐに完成したわけではなく、構想から時間をかけ、さまざまな素材との組み合わせや味わいを試しながら商品へと落とし込んでいったそう。

カカオの個性を生かしながら、「ジェラートとしておいしい」こと。その両方を成立させるための試行錯誤が重ねられました。

“プラントベースありき”ではない、LITTLE MOTHERHOUSEのものづくり

実はLITTLE MOTHERHOUSEには、今回のジェラート以外にも、乳製品を使わずにつくられた商品があります。


そのひとつが、京都の「海ノ向こうコーヒー」が焙煎したスペシャルティコーヒー豆と、インドネシア・スラウェシ島のカカオからつくられたビターチョコレートを組み合わせた一品。

コーヒー豆を78%カカオのビターチョコレートで丸ごとコーティングした商品で、こちらのビターチョコレートにも乳製品は使われていません。

興味深いのは、こうした商品を見ていくと、LITTLE MOTHERHOUSEのものづくりが必ずしも「プラントベースの商品をつくる」というところから始まっているわけではないことです。

コーヒーならコーヒー、カカオならカカオ。それぞれの素材や産地に向き合い、「どうすればその魅力を生かせるか」を考えていく。

今回のカカオミルクのジェラートも、その延長線上にあります。
牛乳の代わりになるものを探したのではなく、カカオをもっと生かす方法を考えた結果、カカオバターと水分を乳化させた植物性の「カカオミルク」という選択肢にたどり着いた。

LITTLE MOTHERHOUSEにとってプラントベースは、最初に掲げる目的というよりも、素材の可能性を追求した先に自然と現れる選択肢なのかもしれません。

色まで楽しい。LITTLE MOTHERHOUSEらしいジェラート

LITTLE MOTHERHOUSEのチョコレートといえば、色彩豊かなビジュアルも印象的です。


チョコレートというとブラウンを思い浮かべますが、同ブランドのショーケースには、思わず目を留めてしまうカラフルなチョコレートが並びます。今回のジェラートにも、その世界観は受け継がれていました。



素材の組み合わせから生まれる味わいはもちろん、目にした瞬間の楽しさまで設計されている。
中でも編集部が惹かれたのが、涼しげなブルーの「立夏」です。

編集部も実食。「立夏」は、まさに夏に食べたい味

今回、編集部は「立夏」と「カカオミルク」の2種類をいただきました。


まず目を奪われたのが「立夏」。


白桃をベースにレモンパウダーを合わせ、バタフライピーを使って青く仕上げています。
ブルーのジェラートというだけでも印象的ですが、実際に食べてみると、その見た目と味がきれいにつながります。
白桃のすっきりとした甘さに、レモンの爽やかさ。後味に甘さが残りすぎず、とても軽やかです。

何より、この涼しげな色。
暑い日にショーケースで見つけたら、思わず選びたくなる。まさに夏に食べたいジェラートでした。

「ミルク」を想像すると驚く。花のように香るカカオミルク

そして、今回ぜひ味わってほしいと感じたのが「カカオミルク」です。


カカオバターと水分を独自の技術で乳化させてつくられた、植物性のカカオミルク。
「ミルク」という名前から、濃厚でクリーミーなミルクジェラートを想像して口にすると、そのイメージはいい意味で裏切られます。

まず感じたのは、意外なほどフルーティーな味わい。
さらに、どこか花を思わせるような華やかな香りが広がります。

「カカオ=濃厚なチョコレート」というイメージとも、「植物性ミルク=牛乳の代替」というイメージとも少し違う。
これは、“カカオから生まれたミルク”だからこその味なのだと思います。

そして、もうひとつ印象的だったのが後味。
ジェラートを食べたあとに飲み物が欲しくなるような甘さや重さがなく、すっと消えていくような軽やかさがあります。
乳製品を使っていないこと以上に、「こんなカカオの味わい方があったんだ」と感じられることが、このジェラートの魅力なのかもしれません。

トッピングには乳製品を含むものも。ヴィーガンの方は確認を

店頭では、ジェラートと組み合わせて楽しめるトッピングも用意されています。
ただし、トッピングには乳製品を使用したものが含まれているため、今回編集部はトッピングなしでいただきました。ヴィーガンの方や乳製品を避けている方は、注文時に使用原材料を店舗で確認することをおすすめします。

「ヴィーガンだから」ではなく、「カカオだから」

プラントベースの商品を取材していると、「なぜ動物性原料を使わなかったのか」という問いから、その背景を探ることが少なくありません。けれど、LITTLE MOTHERHOUSEのジェラートは少し違いました。

乳製品を使わないことを最初の目的にして、その代替品を探したわけではない。
「自分たちが向き合ってきたカカオから、何ができるだろう」
その問いを追いかけていった先に、カカオバターからつくる植物性ミルクがあり、その先にジェラートがあった。


だからこそ、食べてみると「牛乳を使っていないジェラート」という説明だけでは、この商品の面白さを十分に伝えられないことに気づきます。

カカオは、チョコレートになるだけではない。
ミルクにもなり、ジェラートにもなり、これまで知らなかった香りや味わいを見せてくれる。
LITTLE MOTHERHOUSEの新しい挑戦は、私たちが持っていた「カカオ」のイメージを、少しだけ広げてくれるものでした。

https://www.motherhouse.co.jp/pages/littlemotherhouse

服部めぐみ

VEGAN’S LIFE編集長

  • Instagram

ヴィーガン検定1級/発酵食品マイスター。美容・食・サステナブル領域を専門とするエディター。生産者やブランドの哲学を伝える取材・編集を行う。「未来に残したい価値を、読者の心に残るコンテンツへ。」をテーマに、プラントベースを軸とした新しいライフスタイルを発信している。

関連コンテンツ

Article一覧へ戻る