環境にいいより、好きから始まる。今アパレル業界で進むヴィーガン化とは
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「ヴィーガン」と聞くと、食のイメージを思い浮かべる人は多いかもしれません。
しかし今、その流れは少しずつファッション業界にも広がっています。
動物由来の素材を使わない「ヴィーガンレザー」、植物由来の新素材、リサイクル繊維──。海外ではラグジュアリーブランドを含め、動物性素材を使わない選択が広がり始めています。
一方で、日本ではまだ「サステナブル=意識高いもの」という印象が残っているのも事実。それでも近年は、環境にいいから選ぶというより、「かわいい」「おしゃれ」「共感できる」と感じたものが、結果的にヴィーガンやエシカルだった、という流れに少しずつ変わってきています。今、アパレル業界ではどんな変化が起きているのでしょうか。
ヴィーガンファッションとは?
ヴィーガンファッションとは、動物由来の素材を使わないファッションのことを指します。
例えば、
・レザー(革)
・ファー(毛皮)
・ダウン
・シルク
・ウール
などを使用せず、植物由来素材や再生素材、人工素材などで代替する考え方です。
以前は「動物愛護」の文脈で語られることが多かったヴィーガンファッションですが、最近では環境問題やサステナブル消費とも結びつき、より広い意味で注目されるようになりました。
特に海外では、ファッションブランドの姿勢そのものが選ばれる時代に入っています。
注目される“ヴィーガンレザー”
ヴィーガンファッションの中でも、特に注目されているのが「ヴィーガンレザー」です。
近年では、りんごやマッシュルーム、パイナップルの葉、サボテンなど、植物由来の素材を活用した次世代レザーの開発も進んでいます。
日本でも環境配慮型素材の開発が進み、アパレル業界では“レザーの代替”だけではない、新しい素材提案が増えています。
参考:PR TIMES 環境配慮型素材関連記事
ただし、ここで少し複雑なのが、「ヴィーガン=必ずしも環境に優しい」とは限らないという点です。現在市場に多いヴィーガンレザーの中には、石油由来のPU素材を使用しているものも少なくありません。
つまり、
・動物性素材を使わない
・環境負荷を下げる
・長く使える
・廃棄問題を減らす
これらをすべて同時に叶えることは、実は簡単ではないのです。だからこそ今は、何が正解かを一つに決めるというより、自分なりの基準で選ぶ時代へと変わり始めています。
海外ブランドがヴィーガン化を進める理由
海外ではすでに、多くのブランドがファーの廃止やヴィーガン素材の導入を進めています。
例えば、Stella McCartney は早い段階から動物性素材を使わないラグジュアリーブランドとして知られています。また、GUCCI や H&M なども、サステナブル素材や代替素材への取り組みを強化しています。
背景にあるのは、単なる環境配慮だけではありません。
・Z世代の価値観
・ESG投資
・動物福祉
・ブランドの透明性
・SNSでの共感性
こうしたものが、ブランド価値に直結する時代になっているのです。特に海外では、「どんなものを作っているか」だけでなく、「どんな姿勢を持っているブランドなのか」まで見られるようになっています。
日本ではまだ“浸透途中”
一方、日本ではどうでしょうか。
実際には、「ヴィーガンファッション」という言葉自体、まだ一般的とは言えません。
日本のアパレル市場は、
・機能性
・価格
・着回しやすさ
・トレンド感
を重視する傾向が強く、「ヴィーガンだから選ぶ」という消費はまだ限定的です。さらにここ数年は、サステナブル疲れとも呼ばれる空気感も出てきています。「環境のために我慢する」「正しい消費をしなければいけない」そんなメッセージに、少し疲れてしまった人も少なくありません。だからこそ今、支持を集めているブランドは、正しさを前面に押し出しすぎていません。
“環境にいい”より、“好き”から始まる
最近のファッション業界を見ていると、大きく変わってきているのは、入り口です。
以前は、「環境に良いから選ぼう」という伝え方が中心でした。
しかし今は、
・デザインが好き
・世界観に共感する
・SNSで見てかわいいと思った
・持っていて気分が上がる
そんな感覚からブランドに触れた結果、「実はヴィーガン素材だった」「環境配慮型だった」と知るケースが増えています。最近では、単純に「エシカル」を前面に押し出すのではなく、ブランドの世界観やカルチャーの中に自然にサステナブルな視点を取り入れるブランドも増えています。
例えば、Maison Kitsuné は、ファッションだけでなく音楽やカフェカルチャーなども含めたライフスタイルブランドとして支持を集めています。今回発表された新たな取り組みでも、モノを所有するだけではない、ブランドとの心地よい関係性や世界観が表現されていました。
Maison Kitsunéは、サステナブルフットウェアのパイオニアであるインドネシア発ブランド「Indosole(インドソール)」との新たなコラボレーションを発表
インドネシアの河川で回収された廃棄ビーチサンダルを再利用した限定ライン

快適性と耐久性、ミニマルなデザインを兼ね備えたデイリーライン(Maison Kitsuné公式オンラインストアのみで展開)

すべてのモデルは、防水仕様かつヴィーガン対応
こうした流れは、「環境にいいから選ぶ」というより、好きなブランドが結果的に価値観にも共感できたという、今の消費感覚にも近いのかもしれません。これは、プラントベース食品の市場とも少し似ています。
“我慢して選ぶ”のではなく、“好きだから選ぶ”。その先に、結果としてヴィーガンやエシカルが存在する。
今、アパレル業界ではそんな変化が静かに進んでいます。
“かわいい”の基準は、少しずつ変わっている
もちろん、ヴィーガンファッションがすべての人に必要というわけではありません。ただ、以前より確実に変わっているのは、「かわいい」や「おしゃれ」の基準の中に、
・どんな素材なのか
・どんな背景で作られているのか
・どんな価値観を持つブランドなのか
といった視点が少しずつ入り始めていることです。
ファッションは、単なる“服”ではなく、その人の価値観やライフスタイルを映すもの。だからこそ今、アパレル業界では見た目だけではない、新しい「かわいい」が生まれ始めているのかもしれません。
https://maisonkitsune.com/jp_en/



