卵でない卵? 判別できないマヨ? 「GREEN KEWPIE」圧倒的おいしさの秘密
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右:プロジェクトリーダー 綿貫智香さん 左:プロジェクトメンバー 立川海さん
「GREEN KEWPIE」誕生の背景は?
キユーピーが、プラントベース(植物由来)フードの開発に取り組み、その第一弾として2021年に販売したのが、原材料の大部分を植物由来のものから作った「HOBOTAMA」です。シェフがていねいに手作りしたような半熟感を再現し、業務用の商品として販売しました。
その翌年には、市販用の商品として「HOBOTAMA スクランブルエッグ風」「HOBOTAMA 加熱用液卵風」を世に出しました。
2023年に、"サステナブルな食"のブランドとして、GREEN KEWPIEを立ち上げ、はじめはドレッシングを発売、2024年には市販用・業務用ともに商品を拡充しました。
当時アメリカではすでにプラントベースエッグ(植物由来の卵)がありましたが、日本ではまだほとんど普及していませんでした。日本の卵の消費量は世界でも4位(世界鶏卵機関WEO公表/2024年日本の1人当たり年間鶏卵消費量)と上位に位置します。栄養価も高く、彩りもよくて便利な食材ですよね。だからこそ、「もしこれをプラントベースでつくれたら、どんな方が喜んでくださるのだろう」と考えました。
社内でも注目が高く、プロジェクトチームにとって大きな挑戦でしたが、それ以上に驚いたのはお客さまの反響の大きさでした。
「つくってくれてありがとう」
「待っていました!」
「どこで買えるの?」という声が多く届きました。
実際にお問い合わせをくださった方の約6割はアレルギーをお持ちの方、またその周りの方、そして約2割は気候変動など環境意識の高い方からでした。これは単なるブームではなく、日本にもプラントベースフード普及の兆しがあるのではないかと感じました。
ただ、HOBOTAMAだけでは、プラントベースの食生活を支えることはできません。マヨネーズやドレッシング、パスタソースなどの商品カテゴリーにおいてもプラントベースフードをつくり、家庭の食卓でも外食でも、さまざまな食シーンに登場して食生活を支えたい。
だからこそ、新しい「ブランド」で一貫したコミュニケーションをとることが必要でした。そしてこのブランドが、お客さまとともに未来に向けて一歩一歩、愛される存在にしていきたい。その想いから、2023年にチーム一丸となり、「GREEN KEWPIE」を立ち上げたのです。
GREEN KEWPIEが描く、やさしい食卓の未来
どのご家庭でも一度は召し上がったことがあるのではないでしょうか? キユーピーのマヨネーズ=「赤いキユーピー」はご存じのとおり卵を使ってできていますが、今回取り上げるブランド「GREEN KEWPIE(グリーンキユーピー)」いわば「緑のキユーピー」で、「植物生まれのマヨネーズタイプ」はなんと、卵も動物性の素材も使わず、味はそのまま、あの、長く愛されているマヨネーズなんです。味は……おいしい! おかわり!
&kitto編集長の鵜飼は、キユーピーチームへの取材前に、プラントベース(植物由来)と動物由来のマヨネーズの食べ比べをしてその違いを言語化できるよう挑みましたが……できませんでした。さらに、娘たちに、見た目がスクランブルエッグな「HOBOTAMA スクランブルエッグ風」と、動物性卵のスクランブルエッグを食べ比べしてもらいましたが、これまた見抜けず。むしろGREEN KEWPIEのスクランブルエッグ風のなめらかな舌触りが際立っていました。
キユーピーはグループ全体で、日本で生産される卵の約1割を取り扱っています。卵の会社が、なぜ卵を使わない商品を?
お話を伺ったのは、キユーピー株式会社でプラントベースブランド「GREEN KEWPIE」を立ち上げたプロジェクトリーダーの綿貫智香さん(写真右)。
20年以上、分析や研究企画に携わってきた彼女が、なぜ“卵を使わない卵”を世に送り出したのでしょうか。その背景には、数字だけでは語れない想いがありました。
キャリアの軸は分析、どうしてブランド創造に?
キユーピー入社以来20年間、私はものづくりの“裏側”にいました。栄養表示の分析や残留農薬の分析、研究企画開発全体を俯瞰する立場で、2030年ビジョンをつくるメンバーでもありました。
統計解析をしていると、「このまま今の食生活を続けていたら、未来が、地球が変わるかもしれない」と感じることがありました。環境も、人口も、人間の活動も、少しずつ変化していますよね。
分析を活かして、私に何かできることはないだろうか?
そう考えるようになりました。
プラントベースフードはブームだと取り上げられる時期もありましたが、一過性で終わらせたくありませんでした。地球全体が少しずつ変わっていく中で、自分に何ができるかと考えたとき、GREEN KEWPIEへの挑戦は社会への使命だと感じました。
おいしさの追求で、譲れなかったことは?
プラントベースフードは「おいしいの?」という声もまだあります。
研究開発の現場でよく出る言葉は、
「〝あの味〟になっているか?」だったそうです。
〝あの味〟とは、キユーピーが長年研究し培い、お客さまに愛していただいている食卓の味です。そのため、私たちはスクランブルエッグやマヨネーズ、ごまドレッシングといった“食卓の定番”をプラントベースにしています。
お客さまが一度は食べたことのある味。印象に残る味になると驚きのおいしさになります。その記憶を超えられるかどうか、これが境界線でした。
プロジェクトには多くの社員が関わり、またコーポレートシェフの指導も受けながら開発を進めました。例えばボロネーゼは、隠れた自信作です。見た目はもちろん、食べていただいても、お肉を使っていないことはわからないかもしれません。野菜のうま味を加え、キユーピー独自配合のスパイスで煮込み、奥深い味に仕上げています。
キユーピーは長年、お客さまの好きな食感や味わいを研究しています。じつは、原料がプラントベースになったとしても、これまで蓄積してきた調理技術や味づくりの根幹は変わらない。むしろ活かせることに自信が持てました。
栄養面ではどんな違いがありますか?
科学分析をすると味は違いを感じなくても、栄養面では動物性とはまったく異なります。ですがその前に、食体験として“おいしい”と思っていただけることが何より大切なことだと感じています。
おいしさを優先して組み立てているので、たんぱく質は動物性より少ない場合もあります。無理に合わせようとすると味や食感が変わってしまうためです。
ただ、結果的にドレッシングのカロリーは約25%カット(※「植物生まれのごまドレッシング」は日本食品標準成分表2015年度版ごまドレッシング対比、「植物生まれのシーザーサラダ ドレッシング」はキユーピーシーザーサラダドレッシング対比)、コレステロールも低く抑えることができています。これは“狙った”というより、プラントベースでつくった結果です。
代替食として何かを置き換えるというより、「選択肢を広げる」という感覚で手に取っていただきたいですね。
HOBOTAMAのおすすめの食べ方は?
「HOBOTAMA スクランブルエッグ風」は、ホテルの朝食に出てくるような、ふわとろでツヤっとした仕上がりを目指しました。
そのままでもおいしいですが、華やかなひと皿としておすすめは、炒めた野菜の上に最後にトッピングする方法です。
実際の卵だとフライパンの中でだまになることもありますが、「HOBOTAMA」を余熱で固めると、ふわりと仕上がります。たとえばニラ玉も、フライパンの上ではなく盛りつけ後にトッピングするとなめらかに彩りも美しくまとまります。

卵を使わないにらたま風
https://www.kewpie.co.jp/recipes/recipe/QP10009602/
スイーツとして人気なのが「HOBOTAMA 加熱用液卵風」を使用したプリン風デザートです。卵アレルギーの方も食べられると好評で、なめらかな食感と濃厚なアーモンドの香りが特徴です。

卵を使わないアーモンド風味のプリン風
https://www.kewpie.co.jp/recipes/recipe/QP10011599/
キユーピー独自の技術により、たらこのような味わいと食感が楽しめる、植物生まれのたらこ風うどんは「植物生まれのパスタソース たらこ風」を、ゆでたうどんにあえるだけで完成する手軽な一品です。小腹が空いたとき、子どものおやつや受験生の間食に満足感のあるひと皿になります。

植物生まれのたらこ風うどん
https://www.kewpie.co.jp/recipes/recipe/QP10010329/
「HOBOTAMA」に「植物生まれのマヨネーズタイプ」を加えたベーグルサンドにして “マヨたま”にするとシンプルなおいしさが際立ちますよ。
「植物生まれのマヨネーズタイプ」はオイルの使用量など「赤のマヨネーズ」に近い設計にしています。舌に乗ったときのなめらかな口どけを再現するため、お酢の設計にこだわり、満足感ある味に仕上がっています。
どんな方に届けたいですか?
お問い合わせは6割がアレルギー関連で、ご本人だけでなく周囲の人からでした。でもその多くはご本人ではなく“周りの方”からなんです。家族や大切な人を想っての選択だと知って、胸が熱くなりました。
卵アレルギーのあるご家庭では、チャーハンに黄色がなく茶色っぽくなる、卵サンドがつくれない。食卓の彩りが変わってしまう。そんなお悩みをよく聞きます。
その光景を少しでも明るくできたらと思っています。
もうひとつ、じつは“お悩みがない方”にこそ届けたいと思っています。
「パッケージがかわいいから買ってみよう」
「体にやさしそう」
「昨日はお肉をたくさん食べたから今日はグリーンキユーピーにしよう」
「豚しゃぶに、GREEN KEWPIEのごまドレッシングをかけよう」
そんなふうに、気軽に選んでいただけたらうれしいです。
青山学院大学とのお取り組みでどんな変化が?
2024 年 12 月に、産学連携の取り組みとして「『おいしい』で変わる未来!キユーピー×青山学院大学プロジェクト」を開始しました。これは「地球と人の双方が持続可能な食生活を実現したい」という GREEN KEWPIEのコンセプトに共感した青山学院大学経営学部の学生さんとのプロジェクトです。
半年間、企画の試行錯誤を重ね、2025年7月から実現に向けて準備を重ねました。学生さんの、夏休み返上で熱意を持って取り組む姿が印象的でした。
その集大成として、2025年10月から2週間、キャンパス内でGREEN KEWPIEのドレッシングなどを使った限定メニューを販売するイベント「Try! Plant Based Foods」を開催しました。やはり学生さんは味にパンチがありボリュームがあるプラントベースメニューを求めているんですね。私たちも非常に学ぶ点が多かったです。
最初は学内認知率 ※ は28%でしたが、2週間の施策で76%まで上がりました(※学生調べ)。キャンパスで「GREEN KEWPIE」のロゴが入った袋を持つ学生が増えていく光景を見て、「こうやってプラントベースがあたりまえになっていくのかもしれない」と感じました。
「おいしかった」「楽しかった」
そのひと言が嬉しかったですね。
プラントベースの未来をどう見ていますか?
私たちとしては、社会の潮流、地球環境、食糧問題など、長期的な視点で使命感を持って取り組んでいます。
理想は、“選んだらプラントベースだった”という世界。
スーパーの片隅ではなく、あたりまえに食のカテゴリに並ぶようになることが理想です。
外食でプラントベースフードは増えています。外食での「おいしい」がきっかけで、家庭でも取り入れる方が増えると嬉しいです。
ニュージーランドへ、GREEN KEWPIEのマヨネーズタイプを輸出するなど、海外展開も少しずつ広がっています。
「おいしそう」----- それがいちばんのヒントです。
「店頭で気になっていた」
「少し環境を意識してみたい」
「今日はプラントベースにしてみようかな」
その一歩が、未来を少し変えるかもしれない。
GREEN KEWPIEは、やさしい選択肢のひとつでありたいと思っています。
NEWS! 京王グループと食育共創プロジェクト
2026年3月8日より、東京八王子の「高尾の森わくわくビレッジ」にて、参加型の展示とプラントベースの新メニューを販売。キユーピーと京王グループが、子どもや若者にむけてプラントベースフードの食体験を通して未来の食卓を考える「食育共創プロジェクト」を立ち上げました。
「HOBOTAMAスクランブル」を使ったキーマカレーや、おからのカツを使った丼ぶり、まるでお肉なソイミートソースのペンネ、大豆のハムカツサンド、豆乳アイスのチョコタルト添えなど、おいしいプラントベースメニューをご用意しています。



