日本でも注目高まるプラントベースフードとは?ベジタリアン・ヴィーガンとの違いやメリット・デメリットも紹介
公開日: 2025.5.1
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注目が高まるプラントベースフードについて、市場規模や注目される理由、プラントベースフードのメリット・デメリットについて紹介します。また、ベジタリアン・ヴィーガンとの違いも改めて解説します。
プラントベースフードについて
プラントベースフードとは、主に植物由来の原料を使用した食品のことを指します。言葉の由来は英語の「plant-based food」で、日本語に訳すと「植物を基盤とした食べ物」という意味になります。この定義は動物性成分を極力排除し、健康や環境面に配慮した食事スタイルを表す場合が多く、また、プラントベースフードは単なる植物性食品にとどまらず、動物資源の使用を減らし、環境負荷の軽減を目的としたサステナブルな価値観が含まれています。実際に、世界の食品市場ではこの考えに基づいたプラントベースフード製品が急速に広がっており、2023年の調査によると、プラントベース食品市場は年率10%以上の成長を示していることが報告されています。このようなプラントベースフードの普及は、健康志向の高まりと合わせて地球温暖化対策を推進する動きと連動しています。
また、植物由来の成分は脂質やコレステロールが低く、心血管系の健康維持にも寄与するとされていることから健康志向の方や加えて、畜産業に比べて二酸化炭素排出量や水資源使用量が大幅に少ないため、サステナブルな食生活を実践されてきる方からも注目されています。
したがって、プラントベースフードとはその意味や定義を理解した上で、健康促進と地球環境保全の両面から今後の食選択肢の一つとして重視される食品分野の一つです。
プラントベースフード市場の動向について
プラントベースフードの市場は、世界的に急速な拡大を見せており、多くのレポートによると、2023年時点でグローバル市場規模は約280億ドルに達している。特に北米やヨーロッパを中心に、健康志向や環境意識の高まりから幅広い世代で需要が増加している状況です。
日本においてもプラントベースフード市場は着実に拡大しており、2022年の調査報告では市場規模が約500億円を超え、前年から約15%の成長を示している。日本国内では代替肉や植物性ミルク製品の販売が増え、大手コンビニやスーパーマーケットでの取り扱いが進んでいるほか、外食チェーンもメニューにプラントベース製品を取り入れる動きを加速させている。
また、各種調査レポートでは、特に若年層や働き盛り世代の健康志向や環境配慮が購買行動の大きな後押しとなっている点が指摘されている。
例えば、イギリスの調査によれば、18~34歳の約40%がプラントベースフードを定期的に購入しており、今後も市場成長を牽引するとされている。一方で日本は海外市場に比べると成熟度がやや低いものの、食文化の変化や健康意識の高まりで今後さらなる拡大が期待されている。
海外に比べて食品規制や原料調達の課題が存在する日本市場ですが、業界団体や企業はこれらを克服しつつ、高品質で安全なプラントベース製品を提供するための取り組みを進めており、成長の基盤が整いつつある。
プラントベースフードに注目が集まる背景について
プラントベースフードに注目が集まる背景について見ていきましょう。第一に注目される理由に、地球規模で深刻化する環境問題があると言われています。気候変動や資源の枯渇が進む中、環境負荷を減らすための持続可能(サステナブル)な取り組みが世界中で推進されており、その一環として自然由来の食材を中心とする食生活が再度見直されています。
また、消費者の間で環境への関心が高まると同時に、健康志向も強まりを見せています。植物性食品は低脂肪・低コレステロールであることが多く、慢性的な生活習慣病の予防に効果的とされ、これが流行の後押しとなっていると言われています。実際に近年の調査では、30代から40代の働く世代の約70%が健康や環境への配慮を理由にサステナブルな食品を積極的に選んでいるデータも見られます。
植物性トリュフバターと植物性チーズ・代替肉を使用したチーズバーガー
さらに、企業もサステナブルな商品開発に注力し、植物由来の原料を活用した新製品を次々と市場に投入しています。これらの動きが相まって、環境負荷の削減と健康維持を両立できる食のあり方として注目度がますます高まっている状況。環境問題を背景にしたこの潮流は、今後も強く続くことが見込まれるだろう。
https://vegans-life.jp/article/6gpno__s7-u
プラントベースフードのメリットとは
健康志向の高まりに伴い、プラントベースフードはその効果とメリットが注目されている。植物由来の食材は、動物性食品に比べて脂質が少なく、コレステロールの摂取を抑えやすい特徴がある。これにより、心疾患や高血圧といった生活習慣病のリスク低減に寄与するという利点がある。加えて、食物繊維や抗酸化物質が豊富に含まれているため、腸内環境の改善や免疫力向上にも役立つことが報告されている。
さらに、プラントベースフードの摂取は体重管理にも効果的であると言われています。例えば、アメリカのある研究では、植物性食を中心とした食事を取り入れたグループが、約1年で平均して体脂肪率の減少を示している。このことは、生活習慣を改善しつつ、健康的な体づくりを目指す人にとって大きなメリットとなるでしょう。また、健康面での効果以外にもプラントベースフードのメリットは多岐にわたると言われています。
例えば、消化負担が少ないことや、アレルギーのリスクが低い食品が多い点も挙げられる。実際に、食品アレルギーの原因となりやすい乳製品や卵を使用しないため、アレルギー対応食としての利点も得られている。これらの要素が複合的に作用し、健康を維持しながら無理なく続けられる食生活としての価値が高まっていると言えるでしょう。
プラントベースフードのデメリットとは
デメリットにはいくつかの課題が存在する。まず味に関しては、現在の製品でも改良が進んでいるものの、動物性食品に比べて風味や食感の面で満足度が低いと感じる消費者も多い。特に、肉や乳製品の特有のうま味やジューシーさを完全に再現するのは技術的にも難しく、これが購入をためらう理由の一つとなっている。
価格面も大きなデメリットになっていると言われている。プラントベース製品は原材料調達や加工技術のコストが高いため、一般的な動物性食品に比べて高価になる傾向が強い。例えば、代替肉製品は牛肉より1.2~1.5倍ほど価格が高いことが多く、これが消費拡大の障壁となっている。
また、製品によっては使用する油の種類が健康面で懸念されることもある。加工過程で飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の含有が増えるケースもあり、油脂の質に注意が必要だと言われている。
さらに栄養バランスにおいては、プラントベースフードは特定の必須アミノ酸やビタミンB12、鉄分、カルシウムが不足しやすいという課題がある。これらの成分は、動物性食品に多く含まれているため、バランス良く摂取するためには注意深くメニューを組む必要がある。表示の面でも、製品ごとの成分や栄養情報がわかりづらいケースがあり、消費者が正しい知識を得にくいことがマイナスイメージを助長している。
これらの課題を乗り越えるには、技術革新で味や栄養価の向上を図ることのほか、より手頃な価格設定を実現し、適切な成分表示を徹底して消費者に安心して選んでもらう取り組みが不可欠である。総じてプラントベースフードは今後の成長が期待される市場分野であるものの、デメリットと向き合い改善していく努力が引き続き必要となっている。
プラントベースフードの種類について
プラントベースフードには様々なな種類が存在し、特徴的な商品が市場に登場している。主な種類としては、まず「フェイクミート(代替肉)」が挙げられます。代替肉は、大豆やエンドウ豆タンパクを原料とし、肉の食感や風味を再現した商品で、近年ではスーパーや飲食店での取り扱いが増加しています。
デメリットを覆す製品が日本では続々と発表されている。代替肉を研究開発する「ネクストミーツ」の新商品
例えば、世界的大手のプラントベースミートメーカーが発表した新商品は、従来のものよりもジューシーさや見た目のリアリティが向上しており、消費者からの評価も高まっている。
photo by official Instagram 「@groovynuts」
また、植物性ミルクの種類も非常に豊富です。牛乳の代替としてアーモンドミルク、オーツミルク、ココナッツミルクなどが人気で、各々の香りや口当たりに違いがあります。特にオーツミルクは環境負荷が低い点が支持されており、カフェチェーンなどで導入されるケースも増えています。
日本初!豆乳のヴィーガンバターATELIER EPICURE FUJIHARU BUTTER -ŌRA-
さらに、植物由来の油脂も注目されています。従来の動物性脂肪を使わず、ココナッツオイルやひまわり油を活用した製品が広まっていて、調理やお菓子作りに利用されています。例えば、最近発売された植物性バター風の商品は、乳製品不使用ながら豊かな風味と使い勝手の良さを両立している。
そのほかにも、豆腐や納豆など伝統的な植物性食品に加え、穀物や海藻由来の新しい商品も登場し、料理の幅が広がっています。特に機能性成分を強化したプラントベース食品は、健康志向の消費者に支持され、継続的に新商品が企画されています。このように、多種多様な種類のプラントベースフードが提供されており、消費者の嗜好やニーズに応じた食品選択が可能となっている。
植物性ミルクや植物性油
豆乳やアーモンドミルク、オーツミルクなどの植物性ミルクは、牛乳と比べて脂質やコレステロールが低く、乳糖不耐症やアレルギーを持つ人でも安心して摂取できる点が大きな特徴です。例えば、欧米では2023年のデータで植物性ミルクの消費量が牛乳を上回る傾向にあり、健康志向や環境配慮の高まりが背景にあると言われています。
また、植物性油も健康的な油脂源として広く用いられており、オリーブ油やひまわり油、アボカド油などが主な例。これらは飽和脂肪酸が少なく、心血管疾患のリスク低減に寄与すると言われている。さらに植物性油は調理用だけでなく、植物性バターやマーガリンの原料としても活用され、乳製品を用いない商品開発が進んでいます。
100%植物由来の次世代プラントベースバター「ビーベターマイフレンド」
例えば、乳製品や卵を使わずに作られた植物性チーズは、リッチな風味にも関わらず動物性成分を含まず、ヴィーガン需要に応える製品として普及している。
伝統的な植物性食品である豆腐も、良質な植物性タンパク質源として注目され、動物性食品の代わりに食事に取り入れられている。豆腐は調理の多様性も高く、卵や乳製品を控えたい場合の蛋白源としても有効。これら植物由来のミルクや油、加工食品は、健康志向に加え環境負荷の軽減を目的にしているため、持続可能な食生活の選択肢として重要な役割を果たしている。
その他プラントベースフードの新しい商品
従来のフェイクミートや植物性ミルクだけでなく、スイーツや冷凍食品など多様なカテゴリーで商品開発が進んでいる。
中華まん什器販売:1個 211円 (ナチュラルローソン店頭販売のみ)
例えば、コンビニやスーパーの冷凍コーナーには、植物由来の素材を使ったヴィーガンスイーツが並び始めており、手軽に環境配慮した食品を楽しめる環境が整ってきた。こうした新しいプラントベース製品は、食材の活用法も広がっており、サラダのトッピングやメインメニューの一部としても利用されている。最近では、豆腐やテンペなどを使ったオリジナルレシピの提案も増え、家庭での作り方を紹介することで、自炊の幅も広がっている。
例えば、スーパーで購入できる植物性のチーズを使ったサラダレシピや、冷凍のフェイクミートを使った簡単な炒め物など、気軽に取り入れられるメニューが人気を博している。
また、季節限定や地域限定の新商品も登場し、消費者の関心を高めている点も特徴的。これらの商品は、健康志向の高い層だけでなく、忙しい生活を送る方や食物アレルギーのある方にも受け入れられる傾向にある。多様なメニュー展開やレシピの工夫によって、プラントベースフードを日々の食卓に取り入れやすくする動きが活発化している。
プラントベースフードの今後の普及と期待されること
プラントベースフードは今後さらに普及が進むことが予測される。特に、世界的に健康志向や環境意識の高まりが続いていることから、個人や企業が持続可能な食生活を選択する動きが一層加速している。具体的には、植物由来の食品が生活習慣病予防や免疫力向上に寄与するとされる健康面の効果が注目されているほか、温室効果ガス排出削減など環境面での効果も大きな強みとなっている。たとえば、国連の報告によれば、畜産業に比べてプラントベースフードの導入は温室効果ガス排出量を最大50%削減できるとされている。加えて、日本国内でも2023年の消費者調査では約60%が環境負荷軽減のためにプラントベース製品を積極的に選んでいるというデータがあり、幅広い層での支持が広がっている。
企業側も技術革新によって味や食感の向上を図り、より魅力的な商品開発に注力しているため、購入者層の拡大につながる。このように、健康増進と地球環境の両面から見ると、プラントベースフードは今後の食生活において重要な役割を果たすだろう。持続可能な社会の形成に向けた国や自治体の支援策も増えており、普及の効果は一層顕著になると期待されている。総合的に見て、プラントベースフードの拡大は消費者の生活の質向上や環境保全に対する具体的な効果をもたらす動きとして注目される。
https://www.tcvb.or.jp/jp/project/infra/vegetarian-vegan/
ヴィーガン、ベジタリアン、プラントベースの違いについて
ヴィーガンやベジタリアン、そしてプラントベースフードは似たイメージを持つことが多いですが、それぞれに明確な違いがあります。ヴィーガンは動物性の食品を一切摂らず、衣類や生活用品にも動物由来のものを排除するライフスタイルを指す。
一方、ベジタリアンは肉類の摂取を避ける食習慣で、卵や乳製品を摂るラクト・オボベジタリアンも存在します。これに対し、プラントベースフードとは、主に健康や環境意識から植物性の原料を中心にした食品を意味し、必ずしも動物性摂取を完全に排除するわけではありません。
プラントベースフードが近年注目されるかというと、健康面では脂質やコレステロールの摂取を控えられる点、環境面では温室効果ガスの排出量削減や水資源消費の軽減に寄与する点が大きいからと言われています。例えばアメリカの調査では、プラントベースの食事を心がける人々は心血管疾患のリスクが低いと報告されており、ヨーロッパや北米での市場拡大が続いている。日本でも大手スーパーがプラントベース製品を多く取り扱うようになり、消費者の間でイメージが「単なる健康志向食品」から「持続可能で未来志向の選択肢」へと変化しています。
このように、ヴィーガンやベジタリアンが個々の倫理観や食の哲学に基づく一方で、プラントベースフードはより広義で柔軟なコンセプトとして捉えられ、誰もが取り入れやすい食の新潮流として普及しています。消費者の中には「環境に良いけど無理なく楽しめる」というイメージを抱く人も多く、今後は多様な食の選択肢として定着していくことが期待されています。
https://vegans-life.jp/article/2395