フランスで生まれた卵の代替品「YUMGO（ユンゴ）」で変わるプラントベーススイーツの世界とは

卵と同等の機能を持つ植物性食品「YUMGO（ユンゴ）」をご存じだろうか。卵は、「起泡性」「熱凝固性」「乳化性」の3大機能をもちお菓子やパン作りには欠かせない素材の一つです。しかし、昨今、卵アレルギーの人口増加や地球環境問題への関心からプラントベースのニーズが高まる中、世界に目を向けると卵の代替品が登場しています。

今回は、フランスのスタートアップ企業が研究・開発を行った新素材「YUMGO」の日本アンバサダーを務め、いろんな視点で製菓業界にアドバイザリーを行う上野菓子研究所の上野啓介シェフに「YUMGO」との出会いから、プラントベーススイーツの未来について伺った。

上野菓子研究所 　上野啓介氏

上野氏は、専門学校在学中から、東京・日野市にある「パティスリー・ドゥ・シェフ フジウ」に勤務、その後フランスへ渡仏。現地のパティスリーやレストランで経験を積み、日本へ帰国。その後、大手外資系ホテルのパティシエとして務めたのち、材料や素材に興味関心が膨らみ、製菓・製パンを中心とした食品原材料の輸入販売を行う大手商社や乳業メーカーへ転職。パティシエの経験を生かし、各素材を使った新メニューの考案や講師などを務める。その後、2019年に新規ブランドの立ち上げ、レシピ開発や講師等、スイーツ全般のコンサルティングを行う「上野菓子研究所」を設立。その中で、前身の液体状の「YUMGO」と出会った。

YUMGO（ユンゴ）について

フランス・パリ発のブーランジェ・パティスリーであるメゾン・ランドゥメンヌの創業者であるロドルフ・ランドゥメンヌ氏が立ち上げたスタートアップ企業で、同じくメゾン・ランドゥメンヌ創業者で、ベーカリーシェフでもある石川芳美氏とともに100％植物性の代替卵を共同研究・開発を行っている。ポテトプロテインなど植物性原材料で作った卵液は、卵が必要なパンやスイーツづくりなどに重宝され、2019年には第3回European Plant-Based Protein Awardsで優秀なプラントベース製品に贈られる賞を受賞するなど注目が集まっています。

YUMGOアンバサダーになったきっかけ

石川氏とプラントベースの未来について話をしているとき、YUMGOをアジアや日本で展開するにあたりもっと利便性の良い仕様に変更できないかとフランス本国に相談し、粉末状の「YUMGO」が誕生しました。日本では、日仏貿易株式会社が輸入代理店となり、私自身もアンバサダーとなって、YUMGOの可能性や魅力を伝えています。


地球温暖化については、日本でも少しずつ実感されている方も多いのではないでしょうか。一人一人が少しずつできることを取り入れるためには、選択肢の広がりが重要だと思っています。SDGsや環境に配慮した商品開発、フードロスなど、企業として意識して行うことは当然の時代になってきています。
 
プラントベース製品を作るのは難しくない、代替品を活用し、材料さえ揃えばプラントベーススイーツが気軽に作れる時代を導いていければと思っています。
また、卵アレルギーの方が増えてきているのも事実。プラントベースの市場が急に大きく拡大することはなくても、卵不使用のスイーツを求めている方の役に立ちたいという面からも、YUMGOの魅力や使い方を伝えていきます。

YUMGOの可能性について

安心して、手軽に日々のメニューに取り入れることができるようYUMGOの原材料も使い方もとてもシンプルです。GMOフリーでアレルゲンを含む原材料も使用していません。まずは、いつものレシピに使用されている卵を液状にしたYUMGOに置き換えて試してみてください。

こんなスイーツを作ることも可能です。

＜YUMGOブランパウダー（卵白タイプ）を使用する参考レシピ＞
マカロン生地、メレンゲ、ラングドシャ、フィナンシェなど・・・



＜YUMGOジョーヌ（卵黄タイプ）を使用するレシピ＞
カスタードクリーム、クレームブリュレ、ソース（マヨネーズなど）、ブリオッシュなど・・・



＜YUMGOアンティエ（全卵タイプ）を使用するレシピ＞
クッキー類、アーモンドクリーム、タルト生地、カヌレ、フラン、パネトーネやパンドーロなど・・・

2024年4月、大阪でのプラントベース講習会にて

フランスのYUMGOチームと一緒に、日本はじめアジアの市場に向けて、レシピ開発やさまざまな用途の提案を日本のメンバーでサポートしていきます。（写真右から、メゾン・ランドゥメンヌ・ジャポン　浅井氏、石川芳美氏、細井氏、上野）

日本最大級のパン・お菓子の材料通販サイト「cotta」でも展開していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

プラントベーススイーツを通して、実現していきたい未来とは。

プラントベースは、近年食のトレンドとして取り上げられることも多いですが、あくまでも食生活の選択肢として広く多様化したニーズにこたえられるように、10年後、20年後、そしてその先の世代にも当たり前に生活の一部としてつなげていけたらと思っています。