「いい成分」の、その前に。Talitha Koumが考える肌の器というヴィーガンスキンケア

公開日: 2026.8.18

特集

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韓国発のヴィーガンスキンケアブランド「Talitha Koum(タリダクム)」。

VEGAN’S LIFEではこれまで、創業者チェ・ムンソン氏へのインタビューを前後編で掲載し、14歳の頃から敏感肌に悩んできた自身の経験からブランドを立ち上げるまで、そして3年にわたる研究と数百回もの実験を経て、独自成分「白タンポポ胎座培養エキス」を開発するまでを紹介してきました。

そして今回、チェ氏が来日。


メディア関係者に向けて、ブランドの思想や白タンポポ研究、そして製品づくりについて自らプレゼンテーションする機会があり、VEGAN’S LIFE編集部も参加させていただきました。


そこで改めて印象に残ったのは、白タンポポという原料の珍しさでも、配合されている美容成分の多さでもありません。
「いくら良い成分を使っても、それを受け止められる肌の器がなければ意味がない」という、Talitha Koumのスキンケアに対する考え方でした。何を肌に与えるかではなく、その前に、肌そのものをどう考えるのか。今回は、これまでのインタビューからさらに一歩踏み込み、来日発表会で見えてきたTalitha Koumのスキンケア哲学と、それを形にした製品についてご紹介します。

「いい成分」の、その前に。肌の“器”を考える

美容の世界では、次々と新しい成分が登場します。
ビタミンC、レチノール、PDRN……。
「何が配合されているのか」は、私たちが化粧品を選ぶうえで大きな判断材料のひとつになっています。けれど、今回のプレゼンテーションでチェ氏が語ったのは、その一歩手前にある考え方でした。

「いくら良い成分を使っても、受け止められる肌の器がなければ意味がない。」
Talitha Koumが大切にしているのは、肌に次々と何かを与えることではなく、まずは毎日のスキンケアを通して、肌を健やかな状態に整えていくこと。ここでいう“肌の器”とは医学的な言葉ではなく、ブランドがスキンケアに対する考え方を伝えるための表現です。

肌のコンディションが揺らいでいるときに、さらに多くのものを与えるのではなく、まずは肌そのものと向き合う。
「何を与えるか」から、「受け止められる肌をどう整えるか」へ。
この発想の転換こそ、Talitha Koumのものづくりの根底にあるものなのかもしれません。

「自ら健やかになろうとする力」を、ともに育てる

この話を聞いていると、ブランド名である「Talitha Koum」の意味が、改めて印象深く感じられます。「Talitha Koum」は、ヘブライ語で「幼き者よ、立ち上がれ。」という意味を持つ言葉。

ブランドを立ち上げた背景については前編でも詳しく紹介しましたが、今回チェ氏の話を直接聞き、この言葉は単なるブランド名ではなく、製品づくりそのものを表しているのだと感じました。

ブランドが目指しているのは、肌を一時的にきれいに見せることだけではありません。肌が本来持っている健やかさを支えながら、その土台を毎日のケアによって少しずつ整えていくこと。そしてプレゼンテーションの中で、チェ氏はこんなチャーミングな言葉も口にしました。

「おまじないのように『Talitha Koum』と唱えると、細胞が元気になってくれるはず……」

もちろんこれは科学的な効果を意味するものではありません。
けれど、自分の肌を否定するのではなく、「もう一度、健やかな状態へ」と願いながら毎日の肌と向き合う。
そんなブランドの姿勢を象徴する、印象的な言葉でした。

一年に一度咲く白タンポポを、研究する

その思想を化粧品として形にするために、Talitha Koumが長年研究してきたのが「白タンポポ」です。
白タンポポは一年に一度、限られた期間だけ花を咲かせる希少な植物。


韓国では古くから身近な存在で、お茶や食文化の中でも親しまれてきたといいます。
Talitha Koumでは、そんな白タンポポの可能性に着目。ブランドを象徴する独自成分の開発へとつなげていきました。

ここまでは、前回のインタビューでもご紹介したストーリーです。
今回の発表会でさらに興味深かったのは、「自然の植物を使いながら、どうやって毎回同じ品質の化粧品をつくるのか」という研究の話でした。

自然由来の原料は、栽培環境や気候、収穫時期などによって状態が変化する可能性があります。希少な植物を使うからこそ、採取を続けるのではなく、品質を安定させながらその可能性を化粧品へ活かす方法を考える。
そこで採用されたのが、植物細胞培養技術でした。

希少な植物を採り続けない。植物細胞培養という選択

Talitha Koumが着目したのは、白タンポポの「胎座(たいざ)」と呼ばれる部分です。
胎座から細胞を分離・培養し、化粧品原料として開発されたのが、ブランド独自の「白タンポポ胎座培養エキス」。3年にわたる研究と数百回もの実験を経て完成した成分です。

植物細胞培養技術を用いることで、自然環境による原料品質のばらつきを抑え、一定の品質で生産することを目指すことができます。そしてもうひとつ、VEGAN’S LIFEとして注目したのが、希少な植物を大量に採取し続けなくてもよいという点です。
植物由来の成分を使う。
それだけではなく、その植物をどのように使い続けていくのかまで考える。
ヴィーガンコスメにおける「植物との付き合い方」を考えるうえでも、興味深い研究だと感じました。

研究は、毎日のスキンケアへ

どれだけ興味深い研究があっても、私たちが実際に触れるのは毎日使う化粧品です。
今回の発表会では、Talitha Koumの製品を実際に手に取りながら、それぞれに込められた考え方についても聞くことができました。
チェ氏がおすすめとして紹介したひとつが、フェイスクレンザー。


表現していたのは、
「まるで雲で洗っているような泡」。

きめ細かな泡で肌を包み込むように洗うという発想には、「落とす」という工程でも肌に負担をかけすぎないというブランドの考え方が表れています。そして、ブランドのシグネチャーともいえるのが、洗顔後すぐに使用する「白タンポポ エッセンスウォーター」。


白タンポポを軸にしたブランドの研究を、毎日のスキンケアで取り入れるためのアイテムです。
クレンジングから、洗顔後のファーストステップへ。

一つひとつの製品を追っていくと、単に「白タンポポを配合した化粧品」をつくっているのではなく、肌をどのような状態へ整えていきたいのかという一つの思想から、スキンケア全体が設計されていることが見えてきます。

「植物由来」の、その先にあるヴィーガンコスメ

ヴィーガンコスメというと、「動物由来原料を使用しない化粧品」という点に注目されることが多くあります。もちろん、それは大切な基準のひとつです。けれど今回の発表会を通して感じたのは、その先にある問いでした。

植物を使うなら、その植物とどう付き合うのか。
希少な植物だからこそ、大量に採取するのではなく、培養技術を研究する。自然由来だからという理由だけで価値を語るのではなく、その可能性を研究し、品質を確かめる。そして、話題の成分を次々と肌へ与えることだけを考えるのではなく、それを受け止める肌そのものについて考える。

Talitha Koumが目指しているのは、単に「植物を使ったヴィーガンコスメ」ではなく、植物の可能性を科学しながら、肌とのより良い付き合い方を探していくことなのだと思います。

編集後記

これまで2回にわたってTalitha Koumを取材してきました。
一度目に見えたのは、一人の女性が自身の敏感肌と向き合った先に生まれたブランドの物語。
二度目に見えたのは、一輪の白タンポポの可能性を信じ、3年間、数百回もの研究を重ねた開発者たちの姿でした。

そして今回、チェ氏の言葉を直接聞いて、これまで別々に見えていたものが一つにつながったように感じました。
「いくら良い成分を使っても、受け止められる肌の器がなければ意味がない。」
何を使えばきれいになれるのか。どんな成分を足せばいいのか。私たちはつい、「何を与えるか」に目を向けてしまいます。
けれど、自分の肌は今、それを受け止められる状態なのだろうか。そんなふうに視点を変えてみることも、スキンケアなのかもしれません。植物の力をただ借りるのではなく、研究し、育て、肌へ届ける。そして、自分の肌が本来持つ健やかさとともに歩んでいく。
今回の発表会で聞いた「肌の器」という言葉には、Talitha Koumというブランドが目指しているものが、凝縮されているように感じました。

植物を科学すること。そして、自分の肌を信じること。
それが、Talitha Koumが提案するヴィーガンスキンケアのひとつの形なのかもしれません。

https://www.cosmekitchen-webstore.jp/Form/Product/ProductList.aspx?shop=0&cat=BRDTKM&bid=CK01&disp=pro&dpcnt=48&fpfl=0&img=1&sort=16&udns=2&pno=1

服部めぐみ

VEGAN’S LIFE編集長

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ヴィーガン検定1級/発酵食品マイスター。美容・食・サステナブル領域を専門とするエディター。生産者やブランドの哲学を伝える取材・編集を行う。「未来に残したい価値を、読者の心に残るコンテンツへ。」をテーマに、プラントベースを軸とした新しいライフスタイルを発信している。

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