サステナビリティは、これからのラグジュアリー。ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町が植物性の食体験を提案する理由
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ホテルで過ごす時間に求めるものは、上質な空間や心のこもったサービス、おいしい食事だけではなくなりつつあります。その場所でどのような選択がなされ、環境や社会とどうつながっているのか。ホテルの姿勢そのものも、滞在の価値を形づくる大切な要素になっています。
ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町では、「Connect to your future」をテーマに、地球環境への配慮、地域・社会への貢献、安全・安心、人とともに育つ未来、そしてホテルでの体験を通して、持続可能な未来へとつながるサステナビリティアクションを推進しています。その取り組みの一つとして、2026年7月に取得したのが、宿泊施設や観光施設を対象とする国際エコ認証「Green Key」です。
さらに、ホテルでの体験を通してサステナビリティを身近に感じてもらうため、プラントベースメニューの拡充にも力を入れています。
なぜ、ラグジュアリーホテルが植物性の食体験を提案するのか。Green Key取得の背景と、ホテルが考えるこれからの豊かさについて、ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町 宿泊・料飲部門 サービスクオリティ マネジャーの田尻 恵さんに伺いました。
Green Key取得を通して、ホテル全体の意識を変えていく
Green Keyは、エネルギーや水の使用量削減、廃棄物の管理、環境に配慮したアメニティや食材の導入、スタッフへの環境教育、地域社会との連携など、さまざまな基準を満たした施設に与えられる国際エコ認証です。
ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町では、これまで進めてきたサステナビリティの取り組みをさらに高め、サービスの質とブランドの価値を向上させることを目的に、Green Keyの取得を目指しました。
認証取得にあたって特に重視したのは、省エネルギーや節水による環境負荷の低減と、ゲストの快適性を両立させることです。環境に配慮するためにホテルで過ごす心地よさを損なうのではなく、滞在体験の中に自然な形でサステナビリティを組み込むことを大切にしています。
取得までのプロセスは、ホテルで働くスタッフの意識にも変化をもたらしました。サステナビリティは特定の部署だけが担うものではなく、全スタッフの日々の行動の積み重ねによって実現されるものだという認識が浸透。ペーパーレス化やごみの管理、適切な室温管理といった一人ひとりの行動が、ホテル全体の価値向上につながるという共通認識が生まれたといいます。
サステナビリティは、これからの豊かさを形づくるもの
サステナビリティとラグジュアリーは、一見すると異なる方向を向いているように捉えられることがあります。しかし、同ホテルが目指すのは、その二つを切り離さないホテル体験です。
「私たちは、サステナビリティはラグジュアリーと相反するものではなく、これからの豊かさを形づくる重要な価値であると考えています。快適性や美しさ、心地よさを追求しながら、環境や社会にも配慮した選択肢をご提供することが、これからのラグジュアリーホテルに求められる役割だと考えています」
ホテルが掲げる「Connect to your future」にも、環境への配慮を特別な活動として切り離すのではなく、ホテルでの滞在体験の中に自然に存在させ、未来へつないでいきたいという思いが込められています。
プラントベースメニューの拡充に加え、子ども向けプログラムや、日本文化に触れられる宿泊者向けの「GALLERY EXPERIENCE」なども展開。ホテルだからこそ届けられる食や文化、地域社会とのつながりを通して、ゲストが持続可能な未来について考えるきっかけをつくっています。
これまでには「Tropical Mango Parfait」「Montblanc Snow Parfait」「Harvest Garden Afternoon Tea」などの売り上げの一部を、公益財団法人日本自然保護協会へ寄付する企画も実施されました。料理やスイーツを楽しむ時間を、自然環境を守る活動へとつなげています。
なぜ、ラグジュアリーホテルが植物性の食体験を提案するのか
ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町には、国内外からさまざまな食文化や価値観を持つゲストが訪れます。プラントベースメニューの提供を始めた背景には、多様化する食のニーズに応えるという目的がありました。
一方で、植物性の食事を単に「食べられないものがある人のための選択肢」として捉えているわけではありません。環境に配慮した食事をおいしく楽しめる選択肢として提案するため、シェフたちは調理技術や食材への知識を積み重ねてきました。
プラントベースメニューを提供するAll-Day Dining OASIS GARDENのコンセプトは「空中庭園」。その世界観を料理で表現するとともに、野菜本来の魅力をより多くのゲストに伝えたいという思いから、プラントベースメニューを拡充してきたといいます。
「プラントベースの食体験は、食の選択肢を広げるだけでなく、サステナビリティへの理解を深めるきっかけにもなると考えています。食文化や価値観が多様化する中で、さまざまなお客さまに新しい食との出会いや楽しみを提供できることにも意義があります」
これまでにはディナーやパフェ、アフタヌーンティーなど、さまざまな形で植物性食材を取り入れたメニューを展開してきました。現在、All-Day Dining OASIS GARDENのアラカルトには、前菜からスープ、ピザ、パスタ、バーガー、デザートまで、バリエーション豊かなヴィーガンメニューが並びます。
ドライトマトとオリーブや、ひよこ豆とキヌアを使ったワイルドライスのクロケット、野菜だけで作ったベジタブルスープ、カリフラワーのデクリネゾン、ピザ・マリナーラ、きのこ入りのアラビアータ風スパゲッティなど、食事の場面や気分に合わせて選べる内容です。
中でも「ヴィーガーデンバーガー フレンチフライ添え」は、竹炭を使ったバンズに、オニオン、キャロット、インゲン、ひよこ豆、干し椎茸などを練り込んだ焼き豆腐のパティを挟んだ一品。チーズの代わりに大豆由来の食材を使い、野菜と甘めのソースを組み合わせた、100%植物由来のハンバーガーに仕上げています。
デザートには、ライム、カシス、マンゴーの3種類を楽しめる「ヴィーガン プティフール」も用意されています。
植物性食材を使うことを制限として捉えるのではなく、植物性だからこそ表現できる味わいや、素材の魅力を引き出す発想へとつなげています。
開業当初から愛される「OASIS FARM HATAKE」
同ホテルの植物性の食体験を象徴する一皿が、開業当初から提供されているシグネチャーメニュー「OASIS FARM HATAKE」です。
名前の通り、皿の上に表現されているのは野菜を収穫する前の畑の風景。野菜のフムスとキャロブ豆のクランブルで土や畑を表し、季節ごとに異なる野菜を組み合わせています。使用している原材料はすべて植物由来です。
野菜それぞれの味わいや食感を生かしながら、目で見たときの楽しさとストーリー性まで含めて、一つの食体験に仕立てられています。メニュー開発で大切にしているのは、食材本来のおいしさを引き出すことに加え、さまざまな調理法によって、ゲストにこれまでにない野菜の表情と出会ってもらうことです。「OASIS FARM HATAKE」では東京産の野菜を中心に使用しています。仕入れ状況によって東京産以外の野菜を使う場合もありますが、生産地から100km圏内の食材も地元産と捉え、地域とのつながりを意識した食材選びを進めています。
「OASIS FARM HATAKE」は、ヴィーガンやベジタリアンのゲストはもちろん、普段プラントベースの食事に親しみのない人にも楽しんでほしいと考えているメニューです。同メニューは、ホテル36階のAll-Day Dining OASIS GARDENで、ランチは11:30A.M.~3:30P.M.(L.O. 2:30P.M.)、ディナーは5:30P.M.~10:00P.M.(L.O. 9:30P.M.)に提供されています。
※メニュー内容・価格・提供時間は、記事公開時点の情報です。変更となる場合があります。
なお、使用原材料はすべて植物由来ですが、同一の調理環境でほかのメニューも調理しているため、使用原材料以外のアレルゲンやコンタミネーションを完全に防止するものではありません。
食べた後に、プラントベースだったと気づく人も
プラントベースメニューに対しては、実際に食べたゲストから「それまで抱いていたイメージと違い、おいしかった」という声が寄せられています。中には、料理を食べ終えた後でプラントベースメニューだったことに気づく人もいるそうです。
こうした反応の背景には、シェフたちが積み重ねてきた植物性食材に関する知識と調理経験があります。「プラントベースだから」という情報を先に置くのではなく、まず一皿の料理として心からおいしいと感じてもらうこと。その体験が、これまで植物性の食事に親しみのなかった人にとっても、新しい食の選択肢を知る入口になっています。
味わいに加えて、見た目や料理に込められたストーリーまで楽しめることは、ホテルだからこそ届けられる植物性の食体験です。
ホテルでの心地よい記憶を、日常の選択へ
ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町では、食の取り組みだけではなく、省エネルギーや節水、使い捨て資源の削減など、ホテル運営全体で環境負荷の低減を進めています。
その際に重視しているのは、サステナビリティをゲストに負担を求めるものにしないことです。快適性と環境への配慮を両立した設備やサービスを整え、ホテルで過ごす心地よい時間の中で、無理なく取り組みに参加できる環境をつくっています。
今後も、多様な食のニーズに応えながら、季節や地域の魅力を生かした新しいプラントベースメニューを提案し、食を通してサステナビリティを身近に感じられる体験を発展させていく予定です。
ホテルで出会った新しい食や文化、環境に配慮したアメニティ、快適性と省エネルギーを両立した設備。そうした体験が、日々の暮らしの中で環境や社会に目を向け、自分らしい選択を考えるきっかけになることを、同ホテルは願っています。
植物性の料理を選ぶことが、何かを我慢することではなく、まだ知らなかったおいしさや豊かさに出会うことになる。ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町が届ける食体験には、これからのラグジュアリーのあり方と、未来につながる選択肢が表現されていました。
https://www.princehotels.co.jp/kioicho/



