130年以上続く老舗和菓子店「越山甘清堂」が挑戦!発酵と和菓子の力で誕生「AZUKI de HAKKO」の魅力とは

公開日: 2024.9.30

インタビュー

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突然ですが、皆さん和菓子は好きですか。日本のお土産を代表する和菓子の歴史は、日本の食文化や社会の変遷と深く結びついています。簡単に日本での和菓子の浸透について、おさらいをかねてご紹介します。

菓子の起源は、古代にさかのぼり、この時代の「菓子」とは、主に木の実や果物、団子などの自然素材を使ったものだと言われています。中国からの文化伝来とともに、米や小麦粉を使用した餅や団子のような初期の菓子が作られるようになり、奈良時代から平安時代には糖蜜を使った甘味が登場。その後、鎌倉から室町時代には、禅宗とともに茶道が日本に伝わり、和菓子の発展に影響を与えたと言われています。特に、「茶菓子」としての和菓子の役割が高まり、また、室町時代には砂糖の輸入が始まり、甘みを加えた和菓子が広まり始めます。

そして、江戸時代になると日本国内での砂糖の生産が拡大し、和菓子の製造技術も向上。この時代に現代のような形の和菓子が多く誕生し、上品な「練り切り」や「羊羹(ようかん)」などが登場しました。

日本の食文化を語るに欠かせない和菓子が様々な昨今の問題によって消えそうになっている中、石川県金沢市で130年以上続く老舗和菓子店「越山甘清堂」が、現代に寄り添った和菓子ブランドとして「AZUKI de HAKKO」を誕生させた。誕生のきっかけや和菓子を通して実現したい未来について株式会社越山商店(AZUKI de HAKKO研究所)の代表取締役社長の徳山康彦さまに話を伺った。

AZUKI de HAKKOの誕生のきっかけについて教えてください。

私たちが「AZUKI de HAKKO」を立ち上げた背景には、和菓子業界が直面する厳しい現実がありました。少子高齢化や文化の衰退、若者の和菓子離れ、さらにコロナによって冠婚葬祭における和菓子の需要が一時的に0になってしまったことが、行動を起こすきっかけとなりました。それまで地域に根差した和菓子店として、100年以上の歴史を持ち、多くのお客様に支持されてきましたが、突然の需要の喪失により、経営危機に陥ることが懸念されました。しかし、その中で気づいたのは、この厳しい時期こそ、何か新しいことに挑戦するチャンスであるということです。私たちが130年以上も続いてこられた理由を探ることで、先人たちの知恵に触れることができ、それが「AZUKI de HAKKO」への第一歩となりました。

越山甘清堂 焼まん


長年愛されてきた「焼まん」(大判の酒万頭)。それをベースにした、どぶろくから作る「酒まんじゅう」、酒種を使った伝統的な製法を深掘りし、小豆や隠元豆、米麹に注目して新しい挑戦を始めました。

新しい挑戦と道のり

「AZUKI de HAKKO」を立ち上げるにあたって、私たちはヴィーガンやノングルテンといった特定の消費者層に向けた商品を作るというよりも、昔ながらの日本の食文化に基づいた製品作りを行っています。私自身、山菜や漬物、煮物といった純和風の食べ物を幼少期から愛してきました。そうした食文化が、長寿国日本の土台を作り上げてきたと思っています。

和菓子店として提供する赤飯も、栄養価が高く、小豆の煮汁で赤く色付けをすることで、見た目も美しく魔除けになるとも言われ、健康にも良いという一石三鳥の献立です。しかし、時代の変化に伴い、こうした伝統的な食が忘れ去られつつあります。そこで、私たちは温故知新の精神で、日本の良い食文化を現代に蘇らせたいと考え、「AZUKI de HAKKO」を通じて、新しいヴィーガン・グルテンフリーのスイーツを作り出しました。

発酵ようかん 美甘(独自の発酵製法で作られた発酵小豆を使ってできた羊羹)


太田富久研究所 所長/金沢大学名誉教授 太田 富久 先生


日本の伝統を大切にしながらも、健康的で、誰にでも楽しんでもらえる商品作りを目指し、金沢大学名誉教授の太田先生をはじめとする多くの方々のサポートを受けながら、新たな発酵技術を取り入れた商品を作り上げました。幾つもの課題を乗り越えながら進んだ道のりは決して簡単なものではありませんでしたが、それでも諦めずに挑戦し続けています。

商品開発での苦労した点について教えてください。

商品開発は常に挑戦の連続です。特に、伝統的な素材と新しい技術を組み合わせた「AZUKI de HAKKO」では、発酵技術を使った全く新しいジャンルの商品を作り上げることに時間と労力がかかりました。例えば、黄麹と白麹をどのように活かすかという点については、何度も試作を重ね、ようやく最適なバランスを見つけることができました。

米麹で発酵させた「小豆麹」を、「さらに乳酸菌で発酵させる」という二次発酵の研究でご一緒した石川県立大学の小柳准教授と関口教授


また、発酵による麹の残渣を廃棄せずにアップサイクルする取り組みも進めており、栄養価が高い素材を無駄にせずに活用することを目指しています。

商品を手にしたお客様の反応について教えてください。

「AZUKI de HAKKO」という新しい製造方法をご説明し、試食していただいたお客様からは、確かに他の製品とは違うという声をいただいています。

発酵あんスプレッド(「あんこって甘すぎる」「ただ甘いだけだよね」そんな方の概念が変わる発酵あんです)



発酵を取り入れたことにより従来のあんこ類にはない「旨み」を感じて頂けるため、ようかんやスプレッドでは、あっさりとした甘味ながらも奥深い味が好評で、高評価を受けています。今は味の評価が主ですが、今後は健康面での効果についても継続して良い話が聞けることを期待しています。

AZUKI de HAKKOを通して実現したい未来について教えてください。

私たちは「AZUKI de HAKKO」を通じて、発酵食品の新しいジャンルを確立したいと考えています。酒や味噌、醤油、酢に続く新しい食品カテゴリーを作り、日本の伝統を現代に活かしながら、食の多様性と健康を両立する商品をお客様に提供していきたいです。この取り組みが、日本が長寿国であり続けるための一助となればと考えています。
また、越山商店が多くの方々に愛され、社会的に貢献できる企業として成長することが、私たちの目標です。

以上でインタビューは終了です。内容はいかがでしたでしょうか。
日本には世界に誇れる技術を持った企業が沢山あります。ぜひ、皆さんも注目してみてください。

https://azuki-de-hakko.koshiyamakanseido.jp/

https://kanazawamiyage.jp/

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