食の安心を守るアレルギー基準とは?ヴィーガン・プラントベース生活にも役立つ知識

公開日: 2025.8.13

豆知識

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厚生労働省や自治体の調査によると、昔は乳幼児期に多いとされていたアレルギーですが、成人や高齢者の発症例も増加しています。海外では「大人になってから発症するナッツアレルギー」や「果物による口腔アレルギー症候群(OAS)」も注目されています。今回は、健康や環境への配慮から注目されるプラントベース食品についても、アレルギーがある方にとってはプラントベース食品を選ぶ際に注意すべき点がいくつかあります。

「プラントベース食品(動物性原料を使っていない)=安全」とは限りません。大豆やナッツ、小麦など、植物性であってもアレルゲンとなる食材は数多く存在します。食品表示法に基づくアレルギー基準は、こうしたリスクから消費者を守るための大切な情報源。本記事では、日本のアレルギー表示の基本から、プラントベース食品を選ぶ際の注意点まで、知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。

そもそもアレルギー基準って?


アレルギー基準とは、食品に含まれる特定のアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)を表示するための法律上のルールです。日本では「食品表示法」に基づき、消費者が安全に食品を選べるよう義務づけられています。アレルギーは、人によっては少量でも呼吸困難やアナフィラキシーなど重篤な症状を引き起こす可能性があり、命に直結する問題です。表示制度は“命を守るための情報”であり、単なる食品ラベルの一部ではありません。
特にプラントベースの食品でも、大豆やナッツなどアレルゲンとなりやすい植物性食材が多く使われるため、表示の確認は必須です。

義務表示と推奨表示の違い

日本ではアレルゲン表示が「義務」と「推奨」に分かれます。
・特定原材料(義務表示 8品目):卵、乳、小麦、えび、かに、落花生、そば、くるみ。これらは必ず表示が必要。
・特定原材料に準ずるもの(推奨表示 20品目):大豆、ごま、アーモンド、カシューナッツなどが含まれる。
推奨表示は法律上必須ではありませんが、メーカーは自主的に表示することが推奨されています。プラントベース商品では、乳や卵を使わない代わりに大豆やナッツ類の使用頻度が高く、推奨表示品目に該当することが多いためアレルギーの方は注意が必要です。

同じ食材でも表示される?されない?

同じ原材料でも、加工方法や精製度によって表示義務が異なる場合があります。例えば、大豆油は精製過程でアレルゲンとなるタンパク質がほとんど除去されるため、表示義務から外れることがあります。一方で、大豆粉や豆乳はタンパク質を多く含むため表示対象となります。プラントベースの食材は「加工形態」が多様で、同じ“ナッツ”でもペースト・粉末・抽出油など形態によってアレルゲン残存量が異なるため、ラベルだけでなく加工方法の確認もアレルギーのある方にとっては重要になってきます。

国によって異なる表示基準

アレルギー表示の義務品目は国や地域によって違います。
・日本:義務7品目+推奨21品目
・アメリカ:義務9品目(例:ピーナッツ、ツリーナッツ、ゴマなど)
・EU:義務14品目(例:セロリ、マスタード、ルピナスなど)
海外では、日本で推奨扱いの食材が義務表示対象になるケースがあります。プラントベース愛好者が海外の加工食品やヴィーガン製品を購入する場合、現地基準に沿ったラベルを確認することをおすすめします。

「アレルギーフリー」表示の限界

「〇〇不使用」と表示されていても、製造ラインや原材料の運搬・保管過程での微量混入(コンタミネーション)を完全に防ぐことは難しい場合があります。そのため、「〇〇を含む可能性があります」という注意書きが添えられることもあります。プラントベース食品の場合、乳や卵不使用と記載されていても、同じ工場で乳製品や卵を使った商品を製造していることがあります。重度アレルギーの方は、メーカーへの問い合わせや公式情報の確認が不可欠です。

最近の動きと今後の展望


2023年4月から「くるみ」が新たに義務表示に追加されました。背景には、くるみによるアレルギー発症件数の増加があります。また、近年は食品分析技術が進化し、数分で微量アレルゲンを検出できる簡易検査キットも登場しています。さらに、プラントベース市場の拡大に伴い、大豆やえんどう豆タンパク、ルピナスなど新しい植物性原材料が増えており、これらがアレルゲンとして表示対象に加わる可能性もあります。消費者としては、「新しい食材=アレルギーの可能性ゼロではない」という意識が重要です。

安全に食を楽しむためのポイント

ラベル確認の習慣化:初めて食べる商品は必ず原材料とアレルゲン表示をチェック
外食時の質問:「乳や卵は使っていますか?」「ナッツの調理器具は共通ですか?」など具体的に聞く
プラントベースでも油断しない:乳・卵不使用でも、大豆・ナッツ・小麦など他のアレルゲンが多用される
新商品は特に注意:新しい植物性食材や代替タンパク質は過去の経験が少なく、アレルギーリスクが未知数な場合がある

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